SLAM DUNK / スラムダンク / スラダン

『SLAM DUNK』とは、高校バスケを題材とした日本の漫画である。作者は井上雄彦。
不良高校生の桜木花道を主人公とする、バスケットボールを通じた青春物語である。一目惚れした赤木晴子に誘われ、初心者ながらバスケットボール部に入部した桜木花道が、チームメイトやライバルとの出会いを通し、成長していく。
登場するチームメイト、ライバル、監督、記者など、それぞれのキャラクターが個性的であり、キャラクターごとにファンがつくほどの人気作品である。物語の節々で作者による解説があり、バスケットボールを経験していない読者でも楽しめる内容となっている。
また、タイトルが「スラムダンク」であるため、迫力のあるダンクシュートのシーンも多いが、スリーポイント、トリッキーなパス、華麗なドリブルなど細かい技術が細部にわたって描かれており、学生からプロ選手に至るまで、バスケットボール経験者から絶大な人気を誇っている。
1990年から1996年にかけて少年ジャンプにて連載され、1993年から1996年にかけてアニメ作品も放送された。漫画では全国大会の2回戦までが描かれているが、アニメ放送では神奈川県大会決勝リーグまでのストーリーとなっている。また、1994年以降4度にわたり映画作品が放映された。2022年には、新たな映画作品が劇場公開される。

3glisa_999のレビュー・評価・感想

SLAM DUNK / スラムダンク / スラダン
10

スポーツ漫画の金字塔

普段あまり漫画を読まないという人でも、1度は目を通したことがあるのではないだろうか。そう思わせられるほどに、あらゆる世代に知れ渡るスポーツ漫画の傑作がこの『スラムダンク』だ。

主人公、桜木花道は自らを「天才」と称するが、彼は根っからの「努力家」である。いや、正確にはこうと決めたらなりふり構わず突き進む「バカ」というべきか。もちろん、これは最上級の誉め言葉である。
そして桜木以外にも言えることだが、この漫画には「生まれながらの天才」はいない。持って生まれた素質に差はあるものの、皆涙と汗に塗れながら苦しい練習を乗り越えてきた者たちなのだ。

高校生活はたったの3年、さらにバスケットをプレイできる時間はそれよりもっと短い。この漫画が名作たる所以は、その潔くも寂しい、しかしこの上なく爽やかなエンディングに集約されていると思うのだ。
激戦を制し続け、赤木を始め部員の悲願である全国制覇を見事に成し遂げる、そんな結末を皆は待っていただろう。しかし実際は、桜木の言い放った「今」に持てる力の全てを賭け、湘北は散っていった。
彼らはその後大学に進学し、あるいは日本代表に選出され、またあるいはバスケから離れる者もいるかもしれない。そして恐らく、あの「今」に勝る瞬間に再び出会うことは難しいだろう。
その一瞬の輝きが、長きにわたり私たちを掴んで離さないのである。