言葉遊びの天才が描いた作品
『めだかボックス』は週刊少年ジャンプで連載されていた、学園バトル漫画です。
原作は西尾維新さんで、作画は暁月あきらさんです。
原作の西尾維新さんは小説なども執筆しており、言葉あそびが非常に上手です。
今回の『めだかボックス』でもバトル展開の中に言葉あそびが非常に多く盛り込まれています。
例えば、主人公がその婚約者たちと戦う場面があります。
その戦いでは、「消失しりとり」が行われます。
これはしりとりをしながら50音表の中から、それぞれの文字が1度きりしか使えないというゲームです。
そのため「しりとり」を使ったら「し」「り」「と」「り」の4文字が50音表から消え、それ以外の文字で以降のしりとりを戦わなければいけません。
これだけでも非常に頭を使わされるかなと思います。
それにもかかわらず、物語を盛り上げるために、50音をほとんど使い切るように話を展開させていく西尾維新さんの手腕は圧巻です。
また、仕掛けはそれだけではありません。
主人公は50音をほぼ全て使い切り、相手が最後に残す50音を操作するのです。
相手に最後残した50音は「こ」「う」「さ」「ん」つまり降参です。
負けを認めさせ、これ以上ない綺麗な幕引きな上、相手が涙を流しながら言ったセリフが「降参である。言葉もない」です。
いや綺麗!50音を使い切ったこととかけて、綺麗に負けたことを表現する「言葉もない」を入れてくるあたりが素晴らしいですね。
これ以外にも人間の感情の機微や、哲学的な要素も多く非常に楽しめる漫画です。