心が弱った時の栄養剤的作品
最初は、よくありがちな天然キャラの女の子のキャピキャピした日常を描いた話なのかと思っていました。
さらに「異性に触れられると動物に変身してしまう」という設定も何となくありがちな感じがしていたのですが、いつの間にか草摩家の人々のイケメンぶりと、かわいく面白い愛すべきキャラ設定にハマっていました。
そして主人公の透ちゃんを始め、実は登場人物みんなが心に深い傷を抱えていたという背景。何度も壁にぶつかりながらも乗り越えていこうとする姿に引き込まれていき、見るたびに心を打たれました。
髪の色など周囲と少し違う部分があることが原因で受ける、学校でのイジメ問題。そしてもののけに取り憑かれた特異な生き物として生まれてきた我が子をどうしても愛すことができず、ついには精神が崩壊して命を絶ってしまう母親を描いたエピソードには親側の立場として考えさせられるものがあり、胸がギュッと締め付けられる思いがしました。
草摩家の人々にとって透ちゃんは癒しであり心の支えで、「みんなの透ちゃん」というべき存在。自分のことよりも人のために生きてきたような透ちゃんが、最後は夾ちゃんと恋人同士になり、自分の幸せを手に入れることができたのは本当に嬉しかった。これは、ただの少女漫画じゃなく、大人にとっても人生の教科書のような作品です。