高嶺と花 / Takane and Hana

高嶺と花 / Takane and Hana

『高嶺と花』とは、白泉社発行の少女漫画雑誌である『花とゆめ』に掲載されていて、師走ゆきが描く恋愛ストーリーだ。2014年13号に読み切りとして、2015年2号から2020年16号まで連載された。多くの女性ファンから愛され、SNSの登録者数は、本作だけで一万を超えるほどの人気がある。イケメンだけど性格が残念な残念大人の高嶺と、考え方や性格が大人顔負けの高校生の花という異名な組み合わせがこの物語の見どころだ。主人公ふたりの掛け合いがのンポの良さも人気の理由のひとつだ。

Yamato_MTBR9のレビュー・評価・感想

高嶺と花 / Takane and Hana
10

貧富格差×年齢差×おもしれー女

イケメン大財閥御曹司(26歳)と一般庶民女子高校生(16歳)が、偽りのお見合いで出会って惹かれ合う話である。
貧富格差や年齢差をテーマとする漫画は数あれど、両方の組み合わせを試練の壁とする漫画はなかなかないだろう。

肩書きや外見でチヤホヤされることが当たり前の御曹司が見合い話に飽き飽きし、その横柄な態度に怒った女子高校生がカツラを投げつけるのが始まりだ。いわゆる「おもしれー女」である。
イケメンになびかない自分の軸を持った「おもしれー女」というのはもはや漫画界でテンプレ化してきたが、この女子高校生は文字通り「おもしれー女」なのだ。

例えば御曹司に膝枕した時のセリフが、こちらの「安売りのスイカの方が乗せ心地いいですが私は気にしません」だ(13巻より)。
他にも庶民の集団旅行で泊まったホテルのベッドが合わず、「体がズタズタだ」と言う御曹司に対しての返答も秀逸。「高嶺さん(御曹司)の体がお豆腐でできてるとは知りませんでした」と言ってのける(13巻より)。
こういったクスッと思わず笑ってしまう、まるで芸人の漫才を見ているような掛け合いが漫画の中に多く散らばっている。「おもしれー女」そのものだ。
「シリアスな場面で興ざめしないか?」という点では、いい意味でシリアスになりすぎない息抜きになっていて、もはや2人らしさすらあると肯定できる。

こういったことから恋愛の進展はスローペースだ。
刺激的な大人の恋愛を求める場合には不向きだが、御曹司がすぐ女子高校生に手を出さないプラトニックさがこの漫画のいいところである。2人の恋愛を応援しつつ、このやり取りを永遠に見ていたいという読者は多いだろう。