大切なものは日々変わる。変わることを受け入れるバンド
以前にはMCを挟まずにライブを行っていたバンド、BRAHMAN。
しかし、それが一変する出来事がある。それが、東日本大震災。
彼らは、音楽では伝えられないこともあることに気づき、MCを開始する。
震災以降「原発が〜」「復興が〜」と話すバンドもいた。しかし、BRAHMANは決定的に違った。彼らの話すことは全て現実。彼らが被災地へ出向き、実際に体験したことばかりである。
音楽性に関してはそこまで変わりはない。しかし、確実に進化している。自分たちのかっこいいと思う音楽をステージで思いっきり演奏できれば良いというスタイルだった彼ら。しかし、直接言葉で語りかけ、ライブに来た人々の感情を動かそうと変わった。今必要なものが何であるかを理解し、変わることへの恐怖を捨て去り変化したバンドである。
しかし、大きな部分は変わっていない。入場で使用するSEも変わらず、ギターにオクターバーをかけるスタイルも変わっていない。激しさも同じだ。しかし、以前よりも力強さは大きくなり、ボーカルであるTOSHI-LOWの体つきも若い時以上にエネルギッシュになっている。
パワーアップは難しい。方向性を間違ってしまうと、理解されない音楽になりがちである。グランジ界のパイオニアであるNIRVANAが、プロデューサーの好きに編集されたNEVER MINDが大ヒットとなり、そこで悩んでカートは自殺してしまう。実際に、IN UTEROを聞くと大衆には理解され難い作品である(深みがありとても良い作品であるが)。
昔ながらのファンがBRAHMANから離れないのは、理解される音楽をやりつつレベルアップしているところであろう。
メジャーなバンドではあるが、是非とも彼らの音楽を、彼らの世界観を深く感じてほしい。