もう一度読み直したいと思う名作
「いい話だったな」と思う作品は数あれど、もう1度読み直したいと思う作品はなかなかない中、こちらは自分の中でベスト5に入る。
最初は「人間と妖怪の恋物語」という王道設定にたかをくくっていた。ひょんなことから妖怪と接点を持って恋に落ちるというのはよくある話だが、そこにタイムリープが加わり、「実は500年越しの純愛だった!」という感動ストーリー。
気付くと続きが読みたくてたまらなくなるほどストーリーが練られていて、何よりたくさん伏線が散りばめられている。伏線に気付くと読み直したい衝動に駆られるの繰り返しで、でも決して小難しい話ではないため、嫌な気分にはならず楽しく読み進められる。
タイムリープものが好きな方にとてもハマる作品である。
登場するキャラクターも皆魅力的で、敵と思われる相手にも事情があったり理解できるところがあり、最初は嫌いでも後々応援したくなる複雑な気持ちにさせてくれる展開は素晴らしい。それだけ感情移入ができるストーリー展開になっているということだ。
また主人公の女の子は、自ら道を切り開いていくところが印象的で、読者としても勇気がもらえるキャラクターである。
「人間だから」「妖怪だから」と区別せず、誰にでも優しく手を差し伸べる主人公の暖かい心がじんわり伝わる漫画となっている。
最後には登場したほとんどのキャラクターが主人公を祝福するのだが、「色々あったなぁ」と感慨深くなって思わず涙が出そうになる終わり方で、名残惜しさが募る作品だ。