農業とは、命とは何か
都会での勉強漬けの生活から、その勉強の意義すら見失った主人公が、未知の世界である農業高校へと進学。
寮生活による人間関係の構築、実習をこなしていく上で学んだ机上では得られない経験と知識、部活動を通して責任感を身に着ける。
勉強以外に取り柄がないと思っていた主人公は、これまで周りにいなかった人間たちからの影響を受け、次第に目標を持ち人間として成長していく。
『鋼の錬金術師』等で有名な、荒川弘が描いた農業学園マンガ。この作品は前述の作品のような、主人公が(勉強以外)のかっこいいところがほとんどない。つまり、主人公に憧れるといった要素はほぼない。
だがその分、「やりたいことがない」「将来が決まらない」などの、思春期の高校生の等身大の姿が描かれている。
実家が農家である作者が通っていた農業高校を舞台とした作品のため、一般的に知られていない農業の知識や農業高校の実態がわかりやすい。また農家が直面している後継者不足、借金問題、偽装などの信頼性の問題などが、コミカルにときにシリアスに表現されている。
そして食事をとるとは命をいただくということ。特に肉を食べることに関しては、生き物を殺しているという事実から目を背けない、信念のようなものを作品からは感じられる。