「メタリカ」のギタリストはデイブ・ムスティン
今回は「メタリカ」の初期について書く。メタリカのリーダーはドラム担当のラーズ・ウルリッヒであるが、フロントマンで発言権があるのはギター・ヴォーカルのジェイムズ・ヘッドフィールドだ。もう一人のギタリストはカーク・ハメットということになっているが、ファーストアルバムのレコーディング開始前日までのギタリストは、後にメガデスを起こすことになるデイブ・ムスティンである。
クリフ・バートン(初代ベーシスト)在籍時の映像を集めたVHS『ビデオ・ザ・スラッシュ・クリフに捧ぐ』では、デイブ・ムスティンとジェイムズ・ヘッドフィールドの仲の悪さが見て取れた。
テレビのインタビュアーがバンド全体に「影響を受けたバンドを教えてください」と聞く。ジェイムズ・ヘッドフィールドが「そんなの多過ぎて答えられないよ」と答えると、他のメンバーは「しーん」となってしまう。そこでデイブ・ムスティンが「エンジェル・ウィッチ」と答えると、他のメンバーが「モーター・ヘッド…」と口々に発言を始める。まるで、中高生の不良の集団だ。
ジェイムズ・ヘッドフィールドが表向きはリーダーで他をしきっているが、本当の実力者はデイブ・ムスティンで、デイブ・ムスティンのせいにすれば他のメンバーは怖いもの知らずに発言することができる。メタリカを去らなければならなかった理由が簡単に分かる。
ところで、演奏面でのデイブ・ムスティンはどうであろうか。私は以前メタリカのデビュー前のデモテープを持っていた。一言で書くと「カーク・ハメットなんか要らない」だ。特に「モーター・ブレス」と「ウィプラッシュ」では、デイブ・ムスティンの走りまくったテクニカルな早弾きを聴くことができる。デモテープだから音質は悪いはずなのに迫力がすごい。1度聴いたらファーストアルバムはこっちの音源しかいらない。正規の「キル・エム・オール」など聴く気が起こらない(クリフ・バートンのベースソロ曲は別)。
メガデスでも2ndまでしかデイブ・ムスティンはギターソロを弾いていないので、メタリカのデモテープはとても面白い音源である。