今までの価値観が崩壊する曲「アノミー」
「アノミー」は今までの価値観の崩壊するような感覚を覚える、amazarashiの曲である。
作詞者である秋田ひろむによる、主に、先に生まれた者から言われてきた事や、「この世界」の無言の中に存在する圧力へのアンサーソングとなっている。
その旋律は儚さを感じるような、それでいて、激しさを加速させるミドルテンポのロック。それは矛盾せず、成立している。聞く者の「心」そのものに、「リリック」と「旋律」が同時に迫り、繰り返し聞いてしまう。
「...救ってよ」のリリックにはっとした。そう、その言葉を聞きたかった。そう、思っていた。
amazarasiもまた、いや、秋田ひろむはそれ以上に感じ、引き裂かれながら、吐き出す以外に無かった。そう感じるのだ。
amazarashiの痛みは、私の痛み。
amazarashiの叫びは、私の叫び。
「アノミー」のリリックにある「アダムにとって知恵の樹の実とは イブの連れ子かパチンコ玉か」という箇所で、信じたかったものに裏切られた思いが込められている。
「神に近づこう、幸せになろう」というアダムの願いは打ち砕かれた。
神から与えられた伴侶には連れ子。自分の子供では無い。
この世界の享楽の象徴程度しか価値のないもの。
そうした絶望とあきらめ、虚無感。
それをamazarashi、秋田ひろむが代わりに歌い上げてくれただけ。
旋律にしてくれて、うれしい。心の底から感謝を告げたくなる曲だ。