amazarashi / アマザラシ

amazarashi / アマザラシ

amazarashiとは青森県で結成された日本のロックバンド。
時代をリアルに切り取る歌詞とメロディアスな楽曲、耳に心地よいミドルトーンの声。
アニメやゲーム業界とのタイアップを精力的にこなし、なおかつメンバーの顔写真が検索してもヒットしない謎に包まれたバンドである。
紗幕をステージ前面に張り、そこにタイポグラフィーと映像を投影するという独自のライブ演出が展開される。

icemani3のレビュー・評価・感想

amazarashi / アマザラシ
8

今までの価値観が崩壊する曲「アノミー」

「アノミー」は今までの価値観の崩壊するような感覚を覚える、amazarashiの曲である。
作詞者である秋田ひろむによる、主に、先に生まれた者から言われてきた事や、「この世界」の無言の中に存在する圧力へのアンサーソングとなっている。

その旋律は儚さを感じるような、それでいて、激しさを加速させるミドルテンポのロック。それは矛盾せず、成立している。聞く者の「心」そのものに、「リリック」と「旋律」が同時に迫り、繰り返し聞いてしまう。

「...救ってよ」のリリックにはっとした。そう、その言葉を聞きたかった。そう、思っていた。
amazarasiもまた、いや、秋田ひろむはそれ以上に感じ、引き裂かれながら、吐き出す以外に無かった。そう感じるのだ。

amazarashiの痛みは、私の痛み。
amazarashiの叫びは、私の叫び。

「アノミー」のリリックにある「アダムにとって知恵の樹の実とは イブの連れ子かパチンコ玉か」という箇所で、信じたかったものに裏切られた思いが込められている。

「神に近づこう、幸せになろう」というアダムの願いは打ち砕かれた。
神から与えられた伴侶には連れ子。自分の子供では無い。
この世界の享楽の象徴程度しか価値のないもの。
そうした絶望とあきらめ、虚無感。

それをamazarashi、秋田ひろむが代わりに歌い上げてくれただけ。
旋律にしてくれて、うれしい。心の底から感謝を告げたくなる曲だ。