アルテ

アルテ

『アルテ』とは、2013年より『月刊コミックゼノン』にて連載が開始された漫画作品。作者は大久保圭である。本作は2020年4月にSeven Arcs制作でアニメ化された。
物語の舞台となるのは、16世紀初頭のイタリア・フィレンツェ。ここは、芸術などの文化活動が盛んだったルネサンス発祥の地だ。この時代は、女性が1人で生きていくことに理解のなかった時代である。そんな中、貴族出身の箱入りお嬢様アルテが、画家工房への弟子入りを志願。彼女は周囲からの反発を乗り越え、少しずつ理解者を増やしていく。
「女だから」「貴族だから」という差別を乗り越えていくアルテの姿が魅力的な作品。時代背景の書き込みがしっかりしており、作画のクオリティーも高いため、16世紀のイタリアを旅行している気分になれると高く評価されている。

8gfenrir-666のレビュー・評価・感想

アルテ
8

大人になっても心の中のはつらつとした少女の部分を大切にできる

中世イタリアを舞台としたアルテという絵描きを目指す貴族の少女のお話。単行本の巻末後書き漫画を読むに、作者はしっかり時代考証をしているので、世界史好きな人にも楽しめる内容になっています。
現代社会より遥かに女性の生き方が限定されている中で、最初は気合、次第に愛嬌やしたたかさにより次々と障壁を打ち破っていく様子は読んでいて元気をもらえます!
また、他の登場人物についても、障壁に関して「そういうものだから」と受け入れたくましくやり過ごすアルテの母親や、アルテのように障壁を乗り越えていく力はないけど自分なりにできることをやっていこうとするダーチャなど、きっと誰かしらに共感できるはずです。
そして恋愛要素として、師匠であるレオに想いを寄せるようになるのですが、これも単なるラブストーリーに収まるものではないところが味わい深いです。女性絵師という異例中の異例である自分のことを認めてくれた大切な存在として慕い、でも表向きでは恋に溺れるのではなく師匠としてひそかに大切に思い続ける様子が、作品を通して終始描かれております。レオも昔の自分を想起させるアルテをどこか特別な存在とみているのでもどかしさ半分、でも明らかな恋愛というわけではないこの距離感を続けてほしいとも感じます。