生きづらさや孤独感を感じながら生きる2人の出会いと別れ
身分の異なる2人がたまたま同じ船に乗り合わせ、同じ時間を過ごしていく中で、次第に心惹かれていく。上流階級であるローズはその身分から、日々生きづらさを感じていた。好きでもない人との結婚、楽しくもない食事会、親の過度な期待にうんざりしていたが、船の中で下流階級のジャックと出会う。ジャックはお金こそないものの、自分の心の思うままに生きていた。お互い自分とは異なるものを持つ相手に惹かれ、下船後は2人で生きていくことを誓った。そんな中無情にも船は沈没してしまう。
パニックの中で垣間見える人間の本性と、極限状態での決断が、見ている人の魂を震わす作品。
これが実話だというのだからおもしろい。当時タイタニック号の完成は世界中に伝えられ、その初めての航海には大金が払われた。その時代においてタイタニック号に乗船することは、一種のステータスだったのだ。
「絶対に沈まない船」というキャッチコピーは、海を越え国境を越え、世界中の人々に知れ渡っていた。
しかし、船には本来荷積みされなければならない量の3分の1しか救助ボートが用意されていなかった。それが悲劇の大事故につながった最大の原因とされている。
最終的にジャックは死に、ローズとは結ばれることがなかったが、ローズの中には確かにジャックが生き続けていた。
バッドエンドでありながら純愛ロマンスの最骨頂の作品である。