『少年ジャンプ』を読んでいた少年たちが大人になった今、見るべき作品。
『少年ジャンプ+』で連載している作品。『少年ジャンプ』のキャッチコピーである「努力・友情・勝利」という、凝り固まったテーマイメージをいい意味で破壊するような、一線を画す画期的な作品となっています。
そもそも「少年」と名を冠する雑誌に掲載される作品のメインテーマが、「殺し」「スパイ」などといった、薄暗く陰鬱な職業であると誰が思っていたでしょうか。まずこの時点でギャップにやられ「見たい!見たい!」といった前のめりな欲が湧いてきます。
もちろんイメージそのままのダークなテーマ、キャラクター、ストーリーがただ展開されるのなら少年誌には載らず、別会社の青年誌で細々と連載される作品だったかもしれません。
しかし本作品は主人公の子供アーニャを中心として、熱い正義の心を密かに持つ父親ロイド、冷酷さと天然さを併せ持った殺し屋でもあり母親となるヨルが織りなす”家族もの”としての一面を持っています。
利害関係を持ったそれぞれのキャラクターが父、母、子をロールプレイしていく中で、徐々に変わっていく心情の繊細な表現は物語の魅力の一面です。
更にこの作品が他作品と一線を画す理由としては、主人公アーニャが持つ「他人の心を読む」能力の表現です。アニメや映画の中で、様々なトラブルが生じて各キャラクターの本音がすれ違う有様というのはコントのような一面があり、またハラハラする瞬間でもあります。
ですが本作品では各キャラクターの心理表現が見えるという点で「アーニャ=視聴者」となっており、あたかも作品の中に自分が入り込んで擬似体験しているような、没入型の画期的な構成になっているのです。
他人の心を読んでしまったアーニャの焦りや感動、心を読まれてしまった周りのキャラクターの次の行動に目が離せない、魅力的な作品となっています。
更に各声優の魅力的な演技は作品を大いに彩る重要なパーツとなっており、特にアーニャ役を演じる種崎敦美さんのコミカルで可愛らしい声は、海外視聴者も夢中になってしまうようです。まるで視聴するすべての人が保護者のように温かい心を持ち、涙し、笑ってしまう。世界中で愛される傑作だと評されて過言ではないでしょう。
原作も展開に謎が多く、更に無料で読むことができるという点から、アニメから原作のファンになる方も非常に多いと思います。