ユージュアル・サスペクツ / The Usual Suspects

ユージュアル・サスペクツ / The Usual Suspects

『ユージュアル・サスペクツ』とは1995年にアメリカで製作されたサスペンス映画。
巧妙に練られた脚本と、思ってもみないどんでん返しのエンディングが大きな話題となり大ヒットとなる。
カルフォルニア州サンペドロで麻薬密輸船の爆破事件が起こる。謎に包まれたこの事件を、生存者である手足が不自由な男、ヴァーバルが捜査官に語って聞かせる。その事件には闇社会では伝説となっている人物、カイザー・ソゼが深く関わっていた。謎の人物カイザー・ソゼの正体を暴くうちに、事件の全貌が徐々に明らかになっていく。

山岸峰貞のレビュー・評価・感想

ユージュアル・サスペクツ / The Usual Suspects
9

緻密な筋書きと予想外の結末が光る、ネオ・ノワールの傑作

『ユージュアル・サスペクツ』は、ブライアン・シンガー監督の手によって1995年に生み出された、ネオ・ノワール犯罪映画の金字塔です。この作品の魅力は、複雑に絡み合う物語の糸と、最後まで予測不能な展開にあります。

映画はカリフォルニアの港で発生した大規模な銃撃戦と火災の後、警察による2人の生き残りへの取り調べから始まります。この尋問を通じて、5人の犯罪者たちが偶然出会い、そして伝説の犯罪首謀者「カイザー・ソゼ」によって操られていたことが徐々に明らかになります。

特筆すべきは、ケビン・スペイシー演じるロジャー「ヴァーバル」キントの存在です。彼の語り口は巧妙で、観客を物語の深淵へと誘います。この映画の最大の謎である「カイザー・ソゼの正体」は、映画史に残るどんでん返しのひとつとして広く認知されています。

しかしこの映画の真髄は、単なるサスペンスや謎解きに留まりません。各キャラクターの背景には深い人間ドラマがあり、脚本家クリストファー・マッカリーの巧みな筆致が随所に光ります。また、シンガー監督の繊細な演出は、このジャンルの映画に新たな生命を吹き込んでいます。

この映画はスリル満点でありながら、人間性や道徳の複雑さを巧みに描いており、観る者に深く考えさせます。ネオ・ノワール映画が好きな方にはもちろん、緻密なストーリーテリングを楽しみたい方にも強くおすすめします。