となりのトトロ / My Neighbor Totoro

『となりのトトロ』とは、スタジオジブリが制作した長編アニメーション映画。宮崎駿監督の作品であり、1988年に公開された。当時は『ほたるの墓』と同時上映されていた。
舞台は昭和のテレビがまだない時代。家族で田舎に引っ越してきた草壁家。小学6年生のサツキと4歳のメイが、子供にしか見えない不思議な生き物「トトロ」たちと出会い、温かなひと時を過ごしていく物語。平和で温かい作風である反面、数々の逸話が噂されている。
本作品は数々の受賞歴があり、日本映画ベストテン第1位をはじめとした21の賞を受賞している。日本テレビ系のテレビ番組『金曜ロードショー』では、視聴率20%を10回も上回った記録がある。
作中のキャラクターであるトトロは、他の作品にも出演している。1995年にはスタジオジブリの映画『平成狸合戦ぽんぽこ』に出演。2010年にはハリウッド映画『トイ・ストーリー3』にも出演した。2022年には本作品の音楽を作曲・編曲した久石譲による提案でイギリスの劇場でミュージカル化された。
2005年に開催された愛知万博の愛・地球博記念公園内には作中で草壁一家が住んでいた『サツキとメイの家』が展示され、2022年11月にはジブリパーク内にリニューアルし公開される。

amenochihare0のレビュー・評価・感想

となりのトトロ / My Neighbor Totoro
10

野菜が食べたくなる作品「となりのトトロ」

あなたは『となりのトトロ』は観たことありますか?日本に住んでいるのであれば、観たことないという人は少ないと思います。いやむしろ、もしあなたが大人で観たことがないのであったら、希少な存在です。それを自己紹介の時に話したら、少し盛り上がることができるかもしれません。しかし、この作品はもはや、日本人の情操的な義務教育の域にあるといっても過言ではなく、映画の内容は一般常識レベルで知れ渡っているので、勉強としての意味でも一度観てみるといいでしょう。
簡単に物語を説明すると、父親とともに田舎に越してきた姉妹であるメイとサツキが不思議な生き物に出会い、特別な経験をしていく王道ファンタジーです。
これだけ知れ渡っている作品ですから、多くの人は「トトロや猫バスがかわいい」などというでしょう。確かにこの作品に出てくる、トトロや猫バスといったキャラクターはとてもかわいらしく、獣の見た目をしているからか、映画の各シーンで随所に毛のふわふわ感が表現されています。特に印象的なのが、登場人物の1人であるサツキが猫バスに乗り込むシーンです。
その時、座席に座った瞬間、ゆっくりと沈み込んでいくことで、猫の柔らかさと、毛のふわふわ感を視聴者に認識させています。一見、簡単そうに見えますが、かなり難しい表現です。あそこまで絶妙な沈み込みの加減と速度で獣類特有の温かみと柔らかさを表現している作品は、私は、後にも先にもこれしか観たことがありません。トトロたちの毛のふわふわ感を感じるだけでも、あなたはきっとこの作品に満足するでしょう。
私が一番注目してほしいところは、ずばり「野菜」です。この作品、本当に野菜がおいしそうなのです。登場人物のメイとサツキがおばあちゃんの畑に野菜を収穫しに行くシーンがあるのですが、その野菜がつややかで、食欲が湧いてくるのです。野菜で食欲が湧くなどと、信じられないかもしれませんが、あなたはこの作品を見た後、野菜をもりもりと食べ、特にきゅうりをまるかじりしたくなるでしょう。野菜嫌いの子どもにこのシーンだけでも観させることをお勧めします。野菜嫌いを克服できること間違いなしです。
この作品は物語の展開としては、よく言えば王道であり、人によっては単純なものととらえる人もいるでしょう。ですが細部にまでこだわりを感じ、これを観たあなたは、なぜここまで広く受け入れられたのかがわかると思います。
タイミングを逃して、なぜか観てないあなたも、食わず嫌いで観てないあなたも、是非死ぬまでに一度は観ていただきたい作品です。