女王候補の2人に近付く黒い影
魔界に住むショコラとバニラは新たな時代を切り拓く為の女王候補として選ばれた魔女である。人間界で女王候補としての課題「ハート(エクル)」を多く集めた方が次の女王として魔界を統べる事が出来る立場に立つことが出来るが、2人はどちらが女王になっても「ずっと親友でいよう」と約束をし、遂に人間界へとやって来た。ここでは普通の人間として名前を変えて中学校へ転校生として過ごす事になる。「ハート(エクル)」と言うのは人間達が持つ感情の力を結晶化した物を集める事。魔界の経済を回す物としても扱われている大事な資源なのだ。
因みに「ハート(エクル)」には様々な色が存在している。1番下から黄色→オレンジ→ピンク→赤色→紫色までが人間が持つ感情の力を表しているが、その中に黒いハート、ノワールと呼ばれている物がある。普通の魔法使いが触れるだけで衰弱してしまうという人間の嫉妬や憤怒や優越感・憎しみ・孤独感を固めた負のエネルギー、この黒いハートを持つ人間自体も魂を削る程の影響を及ぼす。そんな黒いハートを人間達に芽吹かせ、かつ普通の魔法使いとは違う存在・オグルと呼ばれる種族達の王子様・ピエールが彼女達に迫る。魔法使いにも人間と同様に「ハート」を持っているが、人間と違うのは「ハート」は心臓と同じ物、つまり奪われたらその魔法使いは死んでしまうのだ。人間は感情の力が失われてなければ作り出す事は出来るが、魔法使いは作り出す事が出来ない、唯一無二の物。
そんな大事な「ハート」をショコラはピエールの魔法によって奪われかけてしまう事態に陥る。何とか使い魔の力によって最悪な事態は防ぐ事に成功。その時にショコラは2度とピエールにはときめかない事を誓い、ピエールから身を引く最中、次の矛先はバニラへと向かう。バニラの心優しい性格にピエールは付け込む。周りの人間達や友達、いつまで経っても周囲に馴染めない異物感に苦しむ中にバニラは本当は現女王の子供ではなく、オグルの子供としてすり替えられた存在だとピエールは囁く。誰にも打ち明ける事が出来ない話にバニラは親友のショコラにさえ秘密にし、ピエールの住む館へと足を踏み入れてしまう…。同じ立ち位置にいては勝てない、なら暗黒ですら操れる女王になってしまえば、とバニラは黒いハートを胸の中に埋め込む事を望んだ。でも黒いハートにはもう1つ秘密が隠されていたのだ。それは普通の魔法使いがオグル化する事が出来るという事実だった。バニラはそれを承知の上でオグル化し、遂にはオグルの女王となってしまう…。ショコラはバニラの中に埋め込まれた黒いハートを取り出すことは出来るのか、それともこのままバニラを死なせてしまうのか。本当の友情を取り戻すには何をどうすれば良いのか。ショコラが動き出す先に答えは見付かるのか…?