女の苦悩をここまで書き表した作品を私は知らない
男女逆転大奥、というキャッチーなコピーが有名になったのは確か10年近く前になる。嵐の二宮くんが主演で映画化もしていたはず。
もともと筆者はドラマでやっていた女主体のあの大奥を舞台にした物語もかなり好きなたちだ。ドロドロした愛憎劇めっちゃ面白い…!と思うタイプ。本作である男女逆転大奥も中々にすごい。女同士のドロドロの戦いというわけではないけど、それが故に、人の内面がすごく描かれていると感じる。
特に女将軍の苦悩。世継ぎを作るためとはいえ、毎夜毎夜大奥の男に抱かれなければならず(ここは男の将軍だったらウハウハなのかもしれない)この人と思う人がいても子宝に恵まれなければ歓迎されず、側室をあてがわれ(これは男将軍でも同じか)挙げ句の果てには懐妊しても子供を産むためには政務から一時的にはならなければならないという始まりから終わりまで彼女の好きにできることなんて1つもないんじゃないかという感じ。ただどの女将軍もとにかく強くて魅力的で素晴らしい。男性が読んだ時の感覚はわからないが女の筆者からするともうとにかくグッとくる。ただ1人に愛されたい苦悩、添い遂げたい苦悩、将軍としての在り方での苦悩。そんな苦悩の表情の描き方が秀逸。単純に歴史の勉強にもなるのでおすすめである。