心に風を吹かせる映画
友人は私のノートに、隣の席から「きっと、うまくいく」と一言書いた。来たる研究発表に向けた応援かと思いきや、彼は「この映画今日観よう、面白いらしいよ」と。
私達は最寄りのTSUTAYAに寄り、未完成の卒業論文を心の端に置きながら彼の家へ向かった。
インドを発端に世界的な大ヒットをしたこの映画のあらすじと魅力を、ネタバレなしで紹介しよう。
物語の主人公は、インドの名門大学で出会った3人の男子学生である。両親の教えによりエンジニアを目指すファルハーン、自信がなく神への祈りを欠かせないラージュー、研究心に満ち溢れ学問を愛するランチョー。3人の在学中の様子を大人になったファルハーンが回想しつつ、ラージューと共に行方不明になったランチョーを探すという構成で物語は進んでいく。
3人のやりとりや在学中に起こるあらゆる事件、ユーモアたっぷりの登場人物達を巻き込む展開はどれも目が離せないものばかりだ。次は何が起こるのだろう、3人はどうなるのだろうと、3時間ほどある長編とは思えないほどのスピードで物語は展開していく。
この物語の魅力は何と言っても、映画のテーマとして視聴者に訴えかけてくるメッセージだ。それは主にランチョーのセリフや行動がキーになるのだが、本当に好きなもの、本当に大切なものとどう向き合うべきか、どう生きていけば良いのかという普遍的な題材である。
私たちは日々の生活の中であらゆることを考える。どうすれば将来を安心して生きられるだろう、いつまで好きなことを続けられるだろう、そもそも好きなことって何なのだろう。
ランチョーの言葉や行動はそれらの疑問や迷いの答えにはならないが、どれも本当の意味でポジティブに、前向きに明日を考えるためのヒントとなる。
ファルハーン、ラージュー、ランチョーの3人がそれぞれ行き着く先と結末を見た時、きっとあなたの心に風が吹く。
明日を今より少し前向きに考えることができるはずだ。
映画を観終わった私と友人は、研究発表のことを思い出していた。明日から頑張れば、きっと、うまくいく。