公式と同レベルな滅茶苦茶ぶりの実写版おそ松さん
大富豪の社長老夫婦の亡くなった一人息子に顔が似ているということで、一人だけが養子になる権利を掛けて六つ子たちが個々で奮闘する物語。しかし、それぞれが複雑なドラマを展開させていって物語の収集がつかなくなってしまう。
各々のドラマ(タイムリープ恋愛、記憶喪失米国アクション、大企業主催のデスゲーム、雷に打たれてタイムスリップ)が大真面目に作りこまれているから、「はいはい、おもんないよ。そういうのええから」と不機嫌になることなく見入っていられた。
しかも映画終盤になってきて物語は、見る人を困惑させる方向性になった。老夫婦はクローン技術を悪用する悪者だったり、六つ子は実験で生まれたクローンだったり、タイムスリップの影響で老社長がハタ坊になって会社がぶっ壊れて養子の話は結局おじゃんになって、いろいろ大騒ぎしてニートの日常に戻っていった。
おそ松さんはそもそもが滅茶苦茶だ。DVDに収録されない封印回が実在するし、イヤミが主催のカーレースの回は、主役になりたくてイヤミが世界そのものをぶっ壊す「主役」というポジションへの強い粘着ぶりを見せた。六つ子たちが事故で亡くなり、地獄から生還するために巨大な変形ロボにあの世とこの世が繋がっている天の穴へとぶっとばしてもらうなど、おそ松さんは公式で極端に悪い方にスケールがデカいのだ。
だから、「よくこれでOKとれたなあ」と思えるほどの支離滅裂な物語の実写版おそ松さんは、公式アニメの滅茶苦茶ぶりを再現した良作と言える。