中華の覇権を巡る時代、一人の下僕が天下の大将軍に駆け上がる!
「キングダム」は原泰久が作者の漫画。
集英社の週刊ヤングジャンプで2006年から掲載されており、単行本は60巻を越えています。
物語は中華の秦にある田舎村から始まります。
村の下僕の少年である信と漂は日々鍛錬を続け、剣で下僕の身分から抜け出し、天下の大将軍になることを夢見ていました。
そんなある日、秦の王宮に仕える昌文君が村で漂を見かけ、王宮に連れていきます。
残された信は漂に追いつくため鍛錬を続けますが、一ヶ月が経つ頃に漂は村に戻ってきます。
王弟の反乱に巻き込まれ重傷を負っていた漂は信に天下の大将軍になる夢、そして信が向かうべき場所を託し命を落とします。
漂を失った悲しみの整理もつかぬまま、信は指示された場所へと向かいました。
そしてそこで信が出会ったのが漂にそっくりの政という男。
この出会いが信の運命を大きく変えることになるのです。
「キングダム」は初めの1巻の展開が衝撃的なんです。
信と一緒に2人で成長していくと思っていた漂が早々にまさかの退場。
そして次に出会うのがまさかの秦王の政。
初めての読者を引き込むには十分すぎる展開で、私もあっという間にハマってしまいました。
そして読み進めていくにつれて、信の成長が感じられるのです。
漂のことを決して忘れずに将軍への道を進み続ける信に感動してしまいました。
もちろん政も魅力あふれるキャラクター。
王として、内政や外交に振り回されながらも中華を統一するという夢に向かって突き進む。
そのための剣として信を信頼している二人の関係性も最高です。
信と政の他にも個性的なキャラクターが多数登場。
巫舞を使いこなし信の右腕となる女剣士の羌かい、信が初めて出会う将軍である王騎、敵国趙の宰相である李牧、共に将軍を目指す蒙恬と王賁など信に影響を与えるキャラクターが多数登場。
戦争の場面では展開が全く読めず、毎話どきどきしてしまいます。
戦争なので味方が死亡してしまう場面もありますし、逆に信が敵国の兵や将軍を討ち取るシーンもあります。
場面としての盛り上がりではあるものの、抵抗を感じる方もいるかとは思います。
しかし、信は討ち取った相手の想いや信念も受け取って進んでいくため一方的な侵略行為とはまた違うのです。
なので読者も自然と信のことを応援してしまいます。
そして戦争だけが見せ場ではないんです。
個人的には政と呂不韋の権力争いが非常に読み応えがあって面白かったです。
信と政は戦っている場所こそ違いますが、中華統一と天下の大将軍という2人の夢が密接に繋がっていることが2人の絆を強くしているのではないでしょうか。
敵国との戦い、馬の合わない味方、戦場の住人など様々な人物との出会いが信を成長させ、政を助けていきます。
2人が魅力的な人物になっていくのが楽しみになるはずです。