ミッドナイトスワン

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ミッドナイトスワン
8

自分の好きな自分でいることはとても難しい。

夜の街で働く女性のみならず、男性もどちらでもないLGBTQの人たちもうわべだけ見ていれば好きなことをやっているように見えますが、みんな想いを抱えて必死になって毎日を送っていることを目の当たりにした映画でした。
草彅剛さんが体当たりで演じていた女性の気持ちに近づけば近づくほどにこの人は女性なんだと、母なんだと思えて、いやいや預かった少女を思う気持ちが優しくて切なくていたたまれない気持ちになりました。後半部分は正直いうと辛くて目を背けたい描写もたくさんありましたが、草彅さんの演技に圧倒されながら、これは最後まで見るべき作品と感じてしっかり少女の活躍までみました。彼女が前を向いて夢に突き進んでいく姿は草彅さんが演じた女性の生き方と言えるし、何かがきっと変わってくれるかもしれないと期待させてくれました。世の中はまだまだ保守的で、自分のそばにはそんなことはありえないという大きな鎖がまだまだいろんな人達を苦しめているのだと実感できる作品です。私はそうはならない、と断言できない現実があります。ただ、この作品の影響は大きく、理解者でありたい、化け物などと罵る低俗な人間にはなりたくないと深く考えさせられました。人を人として愛せる人間でありたいと強く思った素晴らしい作品です。