イントゥ・ザ・ワイルド

イントゥ・ザ・ワイルド

『イントゥ・ザ・ワイルド』は2007年にアメリカで制作された青春ドラマ映画。日本では2008年9月に公開された。1996年にジャーナリストであるジョン・クラカワーが発表したノンフィクション本『荒野へ』を、ショーン・ペン監督で映画化した作品である。第80回アカデミー賞では、助演男優賞と編集賞の2部門にノミネートされた。
裕福な家庭で生まれ育ち、物質的に恵まれた暮らしに嫌気がさした主人公の青年・クリスは、学資預金を全額寄付し、世界の真理を求めて単身アラスカへと旅立っていく。

wm777b5のレビュー・評価・感想

イントゥ・ザ・ワイルド
10

幸せの意味

俳優ショーン・ペンが監督をした実話を元にしたドラマです。第80回米アカデミー賞では2部門にノミネートされました。物語はアメリカの裕福な家庭に育ち、優秀な成績で大学を卒業した主人公が、両親への嫌気、そして自らの決まったエリートへの将来に疑問を持ち、誰にも告げず全てを投げ捨ててアラスカへの一人旅に出るところから始まります。預金も全額寄付し、身分証も自ら捨て、別人となってまさに裸一貫で旅をすることで、それまで出会うことのなかった人々との交流、価値観を学んでいく主人公の姿は、職場と家の往復で代わり映えのない毎日を過ごしている人にとっては新鮮で、憧れてしまいます。そしてアラスカにたどり着いた主人公が、一人での暮らしに限界を感じ、その中でたどり着いた「Happiness is only real when shared(幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合った時だ)」という境地は、たとえ強がっていても、結局は誰もが誰かと繋がり、支え合うことが人間としての本質であり、大事なことなのだと感じました。物語のラスト、主人公は残念ながらアラスカで息絶えてしまうのですが、作中で発せられる言葉が旅の風景などと相まって、観終わった後には深く心に刻まれる作品です。