エルム街の悪夢

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エルム街の悪夢
10

視聴者を悪夢に引き込む流れが綺麗な、とても良質なホラー映画でした。

悪夢という名のフレディの世界に、フレディの殺しのターゲットの高校生と、映画の視聴者を逃げられない恐怖に取り込む導入がすごい滑らかでした。学校での授業中や図書館やお風呂、ふとした隙をついてうたた寝をしたらフレディに襲われます。この繰り返しが多かったけれど、すぐには襲わずフレディの因縁の地である幼稚園や燃え盛る工場の中へ迷い込ませて、じわじわと追い詰める襲撃のバリエーションが多くて、気持ちよく視聴者の切迫感を煽ってくれるように作りこまれているのが、大変魅力的な演出だと思いました。

さらにフレディはターゲットの高校生が起きていても、現実と悪夢を混ぜて見せるのが得意なようです。彼氏の葬式でフレディと関わった過去の記憶の中の幼き日の女子高生の姿を見せたり、フレディに殺された人が血まみれで笑って立っていたり、起きて活動しているのに人を夢に引きずり込んで死にかけさせるなど、説明のしづらい恐怖が多くて、その恐ろしさが心地よかったです。さらにフレディは現実と非現実を行き来できる存在でもあるようで、彼のお気に入りであるナンシーとその彼氏との闘いでフレディは現実に逆に引っ張られて倒され、ハッピーエンド…かと思いきや、命が絶えるギリギリのところで夢の世界に逃げ込んだのか、彼はナンシー宅の鏡に映り、ナンシーの母に大けがを負わせたうえに鏡(イコール夢?)の世界に引きずり込んでしまいました。続編作ります、まだ終わっていませんというメッセージがある映画を見てきましたが、とても自然な流れになるように作られたナンシーと視聴者を安心から絶望に叩き落した最後のどんでん返しも、この映画の魅力だと思いました。