漫画「コープスパーティー;娘」の感想:特殊性癖と怨霊と血みどろ祭り
持田哲志たちが天神小学校に閉じ込められて脱出するために奮闘するこの「;娘」シリーズは、原作のゲームのグロさと同様に、エロスや特殊性癖の要素に力を込めている。漫画版だけに登場する男の娘(のちに触手に拘束されて死亡)、妹系ロリキャラのおもらし、ネクロフィリア、キャラ別のバッドエンドなど…特定の性癖の人に刺さる描写だらけだ。物語の終止符の打ち方も後味が悪すぎる。サチコが成仏して天神小学校から生還しても、ほぼ全員が報われない。哲志は怨霊に殺された妹にクローゼットの中から次元を超えて呼ばれて、扉を開けてあっちの世界に入ってしまい、死亡。ヒロインの直美は元の世界の自宅に帰ってようやく一安心…と思っていたら自分が死んだことを思い出して、幽霊たちに囲まれて死亡。委員長の篠崎あゆみが好きな岸沼良樹は、あゆみが哲志のことばかり考えているのに黙って心を痛めて本心をあゆみに伝えず…。
元のゲーム版でもバッドエンドが多いし、閲覧がきついシーンがあるのは公式ガイドブックで知ってはいた。だが、哲志たちが普通の子供で無力であるばかりに仲間が死んでいくのを止められなかったのを1巻から見てきて、3巻の終盤で脱出できたのに、また凡人ではどうしようもできない力のせいで、生還したはずの友達が死んだことを知らない良樹とあゆみだけ生き残った。この物語を知って楽しむ人間に、安息のひと時などないと言わんばかりの残酷の嵐であるこの悲劇の3冊は、バッドエンドに対してマニア的嗜好である者しか読み切れないであろう。