GRAPEVINE / グレイプバイン

GRAPEVINE / グレイプバイン

GRAPEVINE(グレイプバイン)は1993年に結成され、4年後の1997年に「覚醒」でメジャーデビューを果たした日本のロックバンド。メンバー脱退などを経て、2014年にはレコード会社移籍をし、バンドライフの大きな転機を迎えた。骨太なグルーヴと文学的な歌詞の世界を持ち味とし、アルバムごと、ともすれば一曲ごとに全く違った作風を見せる幅の広さも大きな魅力となっている。

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GRAPEVINE / グレイプバイン
8

熟しながらも進化を止めないGRAPEVINEというバンド

GRAPEVINE。1993年結成のベテランのバンドだ。

バンドメンバーであるボーカルの田中和将、ギターの西川弘剛、ドラムスの亀井亨の三人は、もうとっくに熟したおじさまたちなのだが、音楽の進化は止まることを知らない。
スマッシュヒットをした「光について」が有名な彼ら。哀愁漂う独特の世界観は変わらないものの、そこから今の曲を聴けば随分表現に変化を感じる。
一人の人間がさまざまな事を経験し歳を重ねていくように、新曲を出す度にまたひとつ深まった音楽を見せてくれる。 そんなバンドだ。

彼らの楽曲の魅力のひとつはやはり、ボーカル田中氏の歌詞だろう。
その文才は音楽だけに留まらず、「文學界」にて掲載されたコラムではコロナ禍のバンドマンとしてのリアルな心情が美しい文章で綴られ、反響を呼んだ。
本の虫である彼の書く歌詞は文学的であり、深読みを必要とするとっつきにくさを持ちながらも、日常のふとした場面でスッと心に入っていく。
それはまるで、リスナーをふいと突き放したと思えば、寄り添い受け入れてくれているような、不器用な大人の懐の大きさを感じさせる。
また、西川が奏でるスライドギターとドラム担当でありながらメロディメーカーでもある亀井の楽曲はGRAPEVINE独特のブルースな世界観を象徴させる。

バンドの中でも古株に入る彼らを敬愛するミュージシャンも多い。
例えば、若者を中心に人気のバンドである「マカロニえんぴつ」のはっとり氏もその一人だ。
あらゆるメディアでリスペクトを語っていたはっとり氏とGRAPEVINEは、その後ツーマンでライブを行う程の縁で繋がれている。

ライブと言えば、GRAPEVINEはCDや配信よりもライブの生音の方が音が良い。
ボーカル田中氏の、その細い身体の一体どこからそのような声量が出るのか。突き抜けるようなシャウトが出るのか。なんなら昔よりも声が出ている。
CDや配信で曲が気になったならば、是非ライブに足を運んで欲しい。

未だ進化をし続けるバンド、GRAPEVINE。
若い人たちにとってはもしかすると馴染みがないバンドかも知れない。
しかし、熟しながらも尖り続ける、なかなか凄いおじさまたちである。