読んだら必ず何かに挑みたくなる
「ブルーピリオド」は、山口つばさ先生による美大受験をテーマとした漫画作品です。この作品は、主人公の成長する過程を通じて、「才能とは何か?」「美大とはそもそも必要なのか?」など現代アート社会の諸問題の存在を読者に投げかけます。
物語は世渡り上手だがどこか満たされない生活を送っていた男子高校生・矢口八虎が、とある先輩との出会いをきっかけに名門美術大学を目指すところから始まります。そこから彼は絵の才能を開花させるため、努力と挫折を繰り返しながら、自身のアイデンティティと表現力を追求していく様子が描かれます。
さらに、作者の山口つばさ先生自身が東京藝術大学を卒業しており、その経験を活かした繊細な絵柄と情景描写で読者の心を引きつけます。また、登場人物たちの内面や葛藤を丁寧に描き出し、彼らの成長と夢への情熱に思わず共感してしまいます。また、主人公以外のキャラクターたちも非常に魅力的です。飄々とした女装男子・鮎川龍二、一見おとなしそうだがかなり毒舌な孤独の天才・高橋世田介、三つ編みで関西弁の理論派・橋田悠、両親も姉も藝大卒業のサラブレッド・桑名マキ。八虎とともに美大受験に挑む仲間だけでも非常に個性的です。
これらの個性豊かなキャラクターたちがそれぞれ独自の芸術表現を追求する姿は、読者に自分自身の夢や情熱を再確認させるでしょう。特に「好きなこと」を突き詰める苦しみ、人に評価されるというシビアな世界も突きつけてくるため、よりリアルな世界観を味わうことができます。「ブルーピリオド」は、芸術に興味があるかどうか関係なく何かに挑戦する苦しみと喜びを存分に味わうことのできる新感覚の青春漫画です。