恋愛野球漫画の王道
あだち充作品の最も有名な漫画。
野球を題材にしているが、スポーツ根性ものではなく、双子の兄弟たつや・かずや、幼馴染のアイドル的存在・みなみを中心に、恋愛色が強い。
たつや・かずやは、2人ともみなみが好きだ。兄弟で取り合いになってしまうという展開はありふれてはいるが、そのありきたりな部分を超越した面白さがある。
登場人物の絶妙な感情表現が上手で、劣等生たつやの控えめな感じや、優等生かずやの積極的なところが、現実にいそうで感情移入しやすい。
かずやが甲子園を目の前にして亡くなってしまうときは、思わず泣いてしまった。かずや亡き後、たつやとみなみの関係が微妙になってしまうが、たつやが野球に目覚めて才能を開花させていく様は、非常に見ごたえがある。
とんとん拍子に展開が進んでいきそうだが、途中からクセのある野球部監督が現れ、ハラハラする。監督のヒールっぷりは、なかなかのもの。竹刀を持って野球部の練習場に登場し、更にはお酒まで飲みだす。野球部に恨みを持っているところがリアルだ。また、たつやのライバル、新田君や西村君のキャラクターも絶妙で、バランスがいい。新田君はかずや同様超イケメンで大型スラッガー、西村君は不細工で女にもてないピッチャー。しかも、2人ともみなみを好きになるという笑っちゃう展開。
最後はしれっと甲子園で全国優勝しちゃうたつやが、本当にかっこよい。