かがみの孤城

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かがみの孤城
9

人付き合いで苦しい思いをしている、又は苦しい思いをしたことのある人達に見て欲しい作品

「ある日突然、鏡の世界に入り込んだ7人の中学生の子供達が、願いを叶える為に孤城内で秘密の鍵を見つける」というのが、ネタバレ抜きでの表向きのストーリーだ。

しかし、この作品においてメインで伝えたいことは「どの時代にも人間関係で苦しい思いをしている人はいる」「どうしても辛い時は逃げてもいい」という点だろう。
SF要素もあり、そういった作品を好きな方にとっても楽しめるが、やはり人間関係で苦しい思いをしている方に刺さる作品だろうと感じられた。
そういった人達が見るのであれば、自信を持って10点満点をつけたい。

主人公の心理描写は非常にリアリティがあり、大人しく優しい彼女が当初願おうとしていた「いじめっ子を消したい」というのもこの作品ならではであろう。

そして、この作品において注目するべき点は、主人公が幸せになることでハッピーエンドとなる点だ。
こういった作品であれば、いじめた方が罰を受け、ひどい目にあうというのがよくあるパターンだ。
しかし、この作品はその点を描写していない。これはあえてそうしているのだと、私は考えている。

この作品においては、1人1人、多種多様な悩みを抱えた中学生達が登場する。
いじめっ子がどうなったかを描写しなかったのは、視点を変えればそういった子達も、親の教育の被害者だと考えられるからだろうか?
ただ単に描写する必要がなかったと言われればそうだろう。その分、いじめられた側が幸せになるシーンを多く描写していただいたのならば、ありがたい。

まとめると、子供から大人まで、人間関係で悩んでいる人には見て欲しいということだ。
そして、いじめる方の立場には絶対ならないでいただきたい。