世界の見方が変わる考えさせられる漫画
この作品の最後は誰もが予想もつかなかった衝撃の展開であり、とても深いメッセージ性のあるラストとなっている。
主人公エレンが人類の敵である巨人を駆逐するために立ち上がる物語であるが、本当の敵は歴史の末に生み出された国と国との深い因縁関係そのものであった。しかし、せまりくる他国の敵を倒していくだけでは解決しないと知ったエレンは、自らを悪役に仕立て上げ、最強の巨人となり、両国が協力して世界を救うために、自分を殺させるという展開で終わる。
主人公以外の登場人物はだれもその主人公の思わくに気付いておらず、主人公が死んでから、その計画を思い知らされることになる。
この作品の途中から主人公は仲間と敵対するように別行動を取り始め、仲間は困惑するばかりか、読者もほとんどの人が急な展開に困惑したと思う。ネットでも様々な考察が上げられたが、ほとんどの人の予想をはるかに超える展開であった。
そしてこの物語の考えさせられる要素の一つとして、物語の設定が現実に置き換えられるという点である。
この物語の設定では、片方の国が自国に壁を築き、閉鎖的になってしまったが故、お互い理解しあえぬまま、時代が流れている。その時代背景を知らなくなった国民たちは、歪んだ偏見で歴史を改ざんし、お互いを憎しみ合っているが、現実世界でも、戦争はやまず、国同士はお互いの内情を理解し合えないまま、自国の保身のために戦争を続ける。この風景はまさにこの進撃の巨人の設定と同じであるように思う。
この考えされられる漫画はもはや娯楽の域を超えている。