MEN 同じ顔の男たち

MEN 同じ顔の男たち

nishi_70のレビュー・評価・感想

MEN 同じ顔の男たち
8

精神描写の鮮烈なトラウマホラー

ミッドサマー、ヘレディタリーに続き、またもや頭のおかしな映画を世に放ったA24。今回も期待を裏切りませんでした。

夫を亡くした自分を癒すため傷心旅行にでかける主人公。そこで出会ったのは美しい自然と、どこか亡き夫と似た部分を持つ同じ顔を持つ男たちだった。夫の嫌だった部分を個別に人間化したような登場人物たちと、その直球で鮮烈すぎる描写に、エンディング後の映画館は静まり返り、観客全員がドン引きでした。いつもはおいしくてすぐに空になるポップコーンが半分以上残りました。間違っても親や付き合いたての恋人と観てはいけません。自殺・出産・生まれ変わり・狂気…いやな要素をすべてミキサーにかけたような描写の連続で、気まずくなること間違いなしです。

明るく、宗教的な要素を入れてサブリミナルや嫌な予感しかしない伏線を張り巡らせてくるA24ですが、今回はそういった小細工を感じさせず、ただストレートに、主人公の心の闇を映像化・擬人化し、それと向き合う主人公の心の変化を感じさせてくれる作品です。
ラストシーンは映画史に残る迷シーンかつ名シーンですが、彼女の心理状態を考えるとある意味ハッピーエンドなのかも。

トンネルで独特なメロディをこだまさせる主人公の声がいい意味でも悪い意味でも頭から離れなくなる、傑作トラウマホラー。