フジファブリックと幻影
現在は三人組バンドとして 学生に人気のある彼らだが、その作詞作曲の根幹は 今は亡き志村正彦にある。
呟く様に歌われる歌詞、心の柔らかい所に触れる様な心情描写、空想的世界観、絶叫。
独特、奇特、それでいて寄り添う様な作品の数々は、奥田民夫やMr.childrenを初め多くのアーティストが愛し、演奏している。
そんな彼らを関西で初めて耳にしたのは、10年以上前の ラジオ番組だった。
「陽炎」と名付けられたその曲は、夢の中でラジオを聞いているかの様な違和感。強烈な印象を与えた。ほどなくして 活動の幅が大きく成り始め、
メジャーデビューに伴って認知されるに従ってファンが増え続けた彼らだが、一般人はあまり知らないアーティストだった。
そんなフジファブリックの曲が 一般人に最も認知されたのは 志村の死後五年以上が経った今であろう。
志村の死後 映画にも成った「モテキ」主題歌への抜擢、数々のアーティストがcover演奏、アニメでの楽曲起用を経て 今ではLINEのCMに使用されている「若者のすべて」。
あの日ラジオで聞こえてきた陽炎の様に、多くの人にその違和感と幻影を届け、また新たなフジファブリックファンが生まれ初めている。