これはガンダムではなく水星の魔女である
令和初のガンダムTVシリーズ、その記念すべき第一話は正直言って可もなく不可もなくといった印象だった。
主人公はシリーズでは珍しい10代の女の子。主人公機にあたるガンダムエアリアルも女性的なフォルムであり、登場キャラクターのデザインは柔らかいタッチで描かれている。
舞台は10代の少年少女達が生活する学園である。
これまでのシリーズと比べると特徴的に思えるかもしれないが、1話を視聴した限りでは10代の若者を中心とするありふれたSFアニメ、といった枠を超えるものではなかった。もっと言えば、これは「ガンダム」である必要があったのかと思うほどである。
しかし、2話3話と続くにつれてゆっくりと、しかし確実に引き込まれていく。
一番の理由は、主人公スレッタ・マーキュリーである。
彼女は遠く離れた辺境の地である水星からの来訪者だ。性格は純粋無垢で、まさに田舎から都会に出てきた女の子といった感じである。しかし、そんな彼女の出自および真の目的ははっきりしていない。加えて、タイトルにもなっている「水星」また「ガンダム」があの世界ではどのような意味を持つのかも明らかにされていない。
何かの大きな事件、戦争が過去の歴史にあった事は随所から推測出来るが、そこの謎解き要素がこの作品の魅力である。6話までにガンダムお約束の「敵」が全く現れていないのも不気味だ。ここまでは若者たちのほほえましい青春劇が続いているが、その水面下には何か得体のしれないものを感じてしまう。
1年にわたるシリーズということを考えると今後の展開が全く読めず、それだけに様々な憶測が出来てしまうために次の話が待ち遠しくなる作品の1つである。