吸血鬼すぐ死ぬ / 吸死

吸血鬼すぐ死ぬ / 吸死

『吸血鬼すぐ死ぬ』とは、2015年から『週刊少年チャンピオン』で連載している盆ノ木至原作のコメディ漫画、およびそれを原作とするアニメ作品。主人公の吸血鬼退治人ロナルドがひょんなことからすぐに死んでは復活する不死身の吸血鬼、ドラルクの城を破壊してしまい、同居することになるという吸血鬼退治人と吸血鬼コンビのドタバタコメディを描いている。ハイテンションでスピード感のある怒涛のギャグが魅力の作品。

5gSeeyyのレビュー・評価・感想

レビューを書く
吸血鬼すぐ死ぬ / 吸死
10

言葉のセンスがいいギャグ漫画だが、それだけでは終わらない!

吸血鬼と言えば不死というイメージを持ちがちですが、この作品の主人公である吸血鬼ドラルクはドアに挟まれては死に、虫を見ては死に、舌打ちをされては死にます。その死にっぷりがテンポよく、非常に面白いです。
吸血鬼でありながら吸血鬼退治人のロナルドと同居しており、死にやすいけれど、すぐに蘇るが故に死ぬことを怖がらず、様々なトラブルに首を突っ込んでは死んでいます。ツッコミとボケのテンポが良く、舞台である新横浜のことをしょっちゅう何もない街だと貶していて、火口に行った方がマシだのここで買えるものは大抵東京でも買えるだの言いたい放題ですが、嫌味は決してなく見ていて気分を害しません。
声に出して笑ってしまうことも多いので、電車の中で読むことはおすすめしません。そんな大爆笑必死のギャグ漫画ですが、細かい伏線とシリアスな場面も見どころの一つです。ドラルクはすぐ死んでは蘇るが故に死の本質を理解できません。「一度死ぬってそんなに怖いかねぇ」と発言しており、隣にいた科学者から死の恐怖とは喪失だと言われていますが、首を傾げるだけでした。ドラルクに時間の有限さを伝えるため、ドラルクの祖父は「人間の友人を大事にな」と言っており、喪失の痛みを教えることになるのはロナルドだろうとあちこちにほのめかされていて、どのような決着が付くのかが楽しみでもあり、切なくも感じています。そんな助言をしたドラルクの祖父にもかつては人間の友人がいました。今は剣を依り代に霊として復活していますが、祖父はそのことを知らず、友人も記憶を失っています。いつ記憶が戻るのか、いつ再会できるのかが見どころとなっています。また、マッドサイエンティストであるヨモツザカという男にも愛の話があり、死なせてしまった愛犬のために研究をし、愛犬を蘇らせようとしていることが徐々に明らかになっていきます。その蘇らせる手段がぞっとするものだと22巻のカバー下で判明しました。本編だけでなく、カバー下や巻末のシリアス風になっている予告(通称嘘予告)も楽しめるように工夫が張り巡らされており、読み進めるほど面白くなる作品となっているので、ぜひ見てみてください。