タイトルの回収まで天才的な、笑いあり涙ありパロディありの名作!
元軍人の杉元佐一、アイヌの少女アシリパを中心としたアイヌの金塊をめぐるお話です。「カムイ」は北海道でもメジャーな「神様」などを指すアイヌ語なのですが、金塊にまつわるアイヌの物語、というイメージがタイトルだけでぱっと浮かぶわかりやすさがあります。作品の中ではアイヌの生活様式など丁寧に描かれており、その中には「カムイ」がアイヌにとってどういうものかも語られています。作中で「ゴールデンカムイ」という言葉を使用することはほとんどなく、物語の終盤で初めて表現されます。そのとき、「進撃の巨人」や「遊戯王」のように、読者はここで作品のタイトルに与えられた意味を深く知ることができる、というわけですので、ぜひ最後までじっくりアイヌの文化を学びながら読んで欲しい作品でもあります。作品には主人公杉元・アシリパ達以外に、ふたつの大きな勢力が登場します。一方は日本帝国陸軍、もう一方は土方歳三を含む網走監獄を脱獄した囚人の一部、となっており、金塊のヒントを集めながらも、この二大勢力を相手にバトルを繰り広げ、時に知略をめぐらし戦っていきます。敵味方関係なく殺し合い、負傷していくので、ある程度の暴力表現は覚悟した上で読んで欲しいです。作中では笑いも多く、変人も多数登場し、「ジョジョの奇妙な冒険」等往年の名作のオマージュもふんだんに盛り込まれているので、ジャンプ等の少年漫画作品が好きな方は読んで損はないと思います。