泣けるホームコメディ
スパイであるロイドの任務のために集められた偽物の家族が、アーニャの入学試験やヨルの弟との対面などのピンチを乗り越えていくうちに絆を深めていき、本物の家族のようになっていく。それでもロイドはスパイであること、ヨルは暗殺部隊であること、アーニャは人の心が読めることを自分だけの大きな秘密にしているためによくすれ違い、それが笑いを巻き起こし、とてもおもしろい。なりゆきで飼育することになった犬のボンドまで予知能力を持っているのだから、この家族が協力すればロイドのミッションは余裕で達成できるかもしれない。
その反面、それぞれが孤独に背負う重たい過去が具体的に明かされてはいないものの時折ちらつき、総じて切ない。特に、ロイドが自分の子供のころのような思いを誰にもさせたくないから子供の泣かない世界を作るために命を懸けてスパイ活動をしているという独白は泣ける。
この家族三人以外にもアーニャの同級生であるベッキーやダミアンも、明るいだけではなくそれぞれ孤独な悩みを抱えていて苦しい。といいつつもベースはコメディであり、シリアスとコメディのバランスが素晴らしい。
最後に、流行語になるほど大人気なアーニャの、くるくる変わる表情と独特のしゃべり方の可愛さは必見である。