ギャグ漫画だと思っている人にこそ読んでもらいたいスポーツ漫画
『テニスの王子様』という作品名を聞いて、物理法則を大幅に無視した必殺技やインパクトがありすぎるコマの数々を思い出す方は少なくないと思います。その点に関して言えば真実です。「分身するのは序の口」というレベルで荒唐無稽なことが次々と起きます。
または、多種多様な濃いイケメンキャラが登場する漫画だと思う人もいるでしょう。それもまた事実です。クールで生意気でテニスの強い主人公・越前リョーマ。そんなリョーマをも凌駕する強さのテニス部部長・手塚国光。ライバル校とは思えぬ人気と影響力を誇る氷帝学園の跡部景吾もこの作品のキャラクターです。
しかし、そんなインパクトの強いシーンとキャラの奥には、テニスに捧げた熱くて眩しい青春が待っています。
例えば、今まで元テニスプレイヤーである父・南次郎以外には負けなしだったリョーマが手塚相手に初めて負けた後に発した「強くなりたい」というセリフ。
例えば、普段無表情でクールな手塚が青学の勝利のために歯を食いしばりながら肩の痛みを耐えて戦い続けるシーン。
それらに代表されるように、作中キャラクターたちの『テニスにかける想い』がそこかしこで描かれています。どちらが勝ってどちらが負けるのかが読めない試合の中、そんな思いに触れた私は本気で彼らを応援していました。
ありえない技に笑って、文字通り生死をかけた試合に熱くなれる。『テニスの王子様』はそんなスポーツ漫画です。