昭和の男
長渕剛は昭和の男です。若い時にヤジの中で歌ってきたことで精神的にも鍛えられました。デビュー曲は「雨の嵐山」ですが、これは遠距離恋愛の彼女に会いに鹿児島から京都まで行ったのに、そこでフラれてしまうという悲しいお話を歌にしたものです。渾身の自信作だったにもかかわらず、自分の望む形とは違った形でアレンジされ、しかも、全く売れなかったそうです。改めて聞くと、まだ21歳と若いのに、歌唱力もずば抜けており、当時から歌に相当の自信を持っていたことがうかがえます。ですが、全く売れなかったことで、場末のクラブで歌って日銭を稼ぐ生活を余儀なくされ、無理やり演歌を歌わされたり、ビール瓶を投げつけられたりしたそうです。そのときに怖い人たちを冷静に観察していたことで、後年、暴力的なドラマづくりにも生かされています。
また筋肉ムキムキのイメージが強いですが、昔はやせていて、40歳の頃にひょろひょろの自分を情けなく思い、肉体改造に取り組みます。自分の体重すら持ち上げられなかったのに、100キロのバーベルを持ち上げられるようにまでなりました。そうなるまで8年かかったそうで、その根性には驚かされます。こうして、少しずつ自分のブランドを高めて行って現在に至ります。