ファイナルファンタジーX / FINAL FANTASY X / FFX / FF10

ファイナルファンタジーX / FINAL FANTASY X / FFX / FF10

『ファイナルファンタジーX』とは、2001年7月19日にPlayStation 2用ソフトとして発売されたゲーム作品。『FF10』『FFX』等と略される事が多い。
リマスターも発売されていてPlayStation 4やNintendo Switch等でもプレイ可能だ。
キャッチフレーズは「私、『シン』を倒します。必ず倒します。」であり、これはパッケージの裏面にも記載されている。
当作品はPlayStation 2用ソフトとして発売された『ファイナルファンタジーシリーズ』最初の作品であり、PS2のゲームの中でもトップクラスの売れ行きを記録している。その人気の高さから、シリーズ初の物語上での続編となる作品『ファイナルファンタジーX-2』が作られた。
バトル面ではATB(Active Time Battle)に替わって、CTB(Count Time Battle)という新しいシステムが採用されていて、いずれかのキャラクターが行動している時に全体で時間が停止するのが従来との大きな違いである。他にもスフィア盤と呼ばれるボードに配置された成長スフィアを発動させることで、能力値がアップしたり技や魔法を修得したりするという独特の成長システムや、モンスター訓練場などのゲーム中盤からプレイできるやりこみ用ミニゲームが特徴である。

YasakaTakkunのレビュー・評価・感想

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ファイナルファンタジーX / FINAL FANTASY X / FFX / FF10
1

思い出補正のレビューに惑わされないで!今プレイしても駄作です!

【良い点】
・ボス戦が特殊コマンドをはじめ様々なバリエーションがあり、とても楽しい
毎回攻略法を探る楽しみがあり、飽きにくい
ATBではないため、ボス戦でじっくり攻略法を考えることができる。
このゲームにおいて、唯一まともに褒められるポイント。ここだけなら神ゲー。

・海や水がベースの独特な世界観
自分はあまり気に入らなかったが、個性的なのは間違いない。

・時代を考えると、グラフィックは良い

【悪い点】

ーーーフィールドーーー

・一 本 道
本作最大の問題点
分かれ道等の探索要素がほとんど無く、自由に後戻りのできない一本道をひたすら歩かされる。
探索要素なんてものは、全くと言って良いほど存在しない。
行く先々でムービーが挟まるため、「一本道を歩いてムービーを見る」という作業を繰り返すことになる
- 飛空挺入手後に多少改善されるが、遅すぎる
- ナギ平原のようにマップが広ければ、一本道を歩かされる感覚がマシになったのに…

・移動が遅い
チョコボに乗れば速くなるが、乗れる場所がとても少ない

・エンカ率が高い
終盤になると「エンカウントなし」の装備が手に入るが、入手難度が高い
入手できても、今度は移動の遅さがネックになる

・寺院のパズル(モドキ)が直感的ではなく、理不尽
同じスフィアでも使用する場所によって得られる効果が変化することがある。そのためスフィアの効果が予測できず、実際に使ってみなければ効果が分からない。
つまり、謎を解くためには総当りが必要という事になる。理不尽で、パズルとして成立していない。

ーーーバトルーーー

・通常バトルが単調で作業的
本作では1キャラにつき属性1つ、敵1匹につき弱点1種が普通で、敵に合わせてほぼ毎回メンバーを入れ替える必要性がある
ー さらに弱点を突くと、ほとんどの場合は一撃で倒せてしまう。
ー 序盤こそ楽しいものの、色違いの敵は全て弱点が共通していることもあり、「この敵にはこのキャラの攻撃しか効かず、そのキャラならワンパン」という形で、キャラ毎の役割が固定化されすぎている
ー 中盤以降はまるで『後出しじゃんけん』のように単調に感じて、楽しめない
ー 例えば「ポケモン」の場合、水タイプのポケモンは草タイプに弱いが、冷凍ビームを覚えさせれば、草タイプにも対抗できるようになる。
また、わざわざ弱点を突かなくてもタイプ一致補正で押し切ることもできるため、弱点を突けないからといって必ずしもポケモンを入れ替える必要はない。
そしてこれにより、タイプ一致技や弱点を突ける技をどう覚えるかとう育成の楽しみや、それらをどう使うかというバトルの楽しみがある。
そうした育成の自由度も後述するスフィア盤のせいで奪われているため、弱点でない敵には基本勝てず、型にはまった事を延々とやらされているという作業感が強い
終盤、「捕獲」ができるようになると、捕獲を組み込んだ戦いが求められるようになり、単調さがやや軽減される
ー しかし「捕獲」では同じ敵を何度も倒す必要があるため、やり込もうとするとやはり作業感が強くなってしまう。
ー 特定の敵を狙い続けるという作業が、ランダムエンカウントと相性が悪く、狙いのモンスターがなかなか出なくてイライラする。
例えば「ポケモン」ならレアなポケモンでも一匹捕まえれば事足りるし、捕まえたポケモンをバトルで使える楽しさがある。
それに対して本作の「捕獲」には、隠しボスと戦えるくらいしかメリットが無く、隠しボスを出すためには様々なモンスターを複数匹ずつ捕獲する必要があり、手間とリターンが見合っていない。

・召喚獣の演出が長い
クイックモードにしてもまだ長い
特に「召喚獣バトル」では、互いに召喚獣を使うので致命的に遅い

・1度行動したキャラにしか経験値が入らない
前述の通り「この敵にはこのキャラの攻撃しか効かない」というパターンが多いため、キャラを満遍なく育てておかないと後々厄介になる
しかしキャラを満遍なく育てるためには、「キャラを入れ替えて防御」を繰り返す必要があり面倒

ーーー育成要素ーーー

・スフィア盤は自由度が低く、単に面倒なだけ
レベルが上がるたびにメニューからスフィア盤を開き、キャラを移動させてスフィアをはめる必要がある。工程が多くて面倒。
一見育成の自由度があるように見えるが、実際にはスキルが一直線に並んでいて、自由度は全く無い。
- 終盤になってようやく分岐に入れるようになり、少しだけ自由になるが、短すぎて楽しめるとは言い難い。
結果的にやっていることは、従来のジョブチェンジから自由度を消しただけのもので、無駄に面倒になっているだけ。
ー これなら従来のジョブチェンジの方が、自由度が高いうえに自動で進むので良かった。
ー 最低限、レベルアップの度に自動で進めてくれれば良かったのに……

・素材集めが面倒
武器改造や召喚獣強化に使うための素材のうち、店売りされているのはごく一部だけ。
殆どの素材はドロップ、盗む、ミニゲーム等で稼ぐ必要がある
要求される素材の数がやけに多く、終盤にならないと素材がなかなか集まらないため、武器改造や召喚獣強化を自由に楽しめない
一本道で自由に後戻りできない仕様のせいで、ドロップのパターンを覚えて稼ぎ場を作っても、ストーリーが進むとしばらくその稼ぎ場に戻れなくなるため、飛空艇入手後でなければ効率よく稼ぐのは困難。
そして飛空挺入手後なら、武器改造の必要が無い「七曜の武器」や、強化の必要がないほど強力な召喚獣が手に入るので、素材の必要性自体が薄くなる

・武器改造が無意味
素材集めは上で示した通りとても面倒で、とても道中でこなせるものではない。
最強武器である七曜の武器は、スロットが埋まっていて武器改造ができない。
そして七曜の武器は、武器改造で作ったどんな武器よりも強いため、やり込みプレイであっても、武器改造をする必要性が感じられなかった。

・召喚獣強化の影が薄い
ストーリーを進めていくと強い召喚獣がどんどん加入するため、ストーリーの途中でわざわざ1匹の召喚獣を強化する必要が無い。というか、強化してもほとんど無駄になってしまう。
終盤に加入する召喚獣は、最初から強力なスキルがほぼ揃っているため、店売りのハイポーションで覚えられるケアルラを付けるくらいしか、やる事が無い。

ーーーシナリオーーー
・最初のセントラルクエスチョンが何一つ解決せずに終わる
本作最大の問題点その②
主人公:ティーダの最初のセントラルクエスチョンは、「ザナルカンドへ帰る」ことである。
ユウナの旅について行くのは、自分をスピラへ連れてきたのがシンであり、シンを追えば帰る方法が分かるかもと考えたからだ。
にも関わらず、ティーダが帰る方法を模索するシーンは殆どなく、セントラルクエスチョンが正しく機能していない。
挙句、終盤にはとある理由により、このセントラルクエスチョンは消滅してしまう。
その結果ティーダがとある行動を自分1人の判断で勝手に起こし、それによってヒロイン:ユウナの今までの努力が台無しになる。
出来が酷いうえに後味の悪いクソシナリオである。

・中盤までのストーリーが地味でつまらない
基本的にユウナの旅について行くだけの単調な内容
ー 前述の通り、終盤に差し掛かるまで、セントラルクエスチョンである「ザナルカンドへ帰る」が一切変化しない。
フィールドが一本道で、ティーダは終盤になるまでほとんど何も知らない状態であるため、言われるがままに付いて行くような感覚が続くだけでつまらない

・キャラクターが不快
《ティーダ》
前述の通り、独断でユウナの努力を無駄にする最低の男
《アーロン》
最初から全部知ってるくせに、その事を他のメンバーにろくに話さない
- プライドだけが無駄に高い無能
《キマリ》
中盤までは見せ場が一切無く、ただよく分からない事をいうだけのキャラ
終盤で一応見せ場があるものの、それを含めてなおストーリー上で居ても居なくても変わらない、存在意義を感じない
ー システム上は唯一スフィア盤で自由にルートを選択できるキャラ。
そのため育成システムの問題点を一部解消した、育成システムにおける癒やし枠。全キャラそうしろよ。

・お涙頂戴が露骨すぎて泣けない
・全体的に描写不足で、不自然な点や設定上の矛盾が多い。
これらの具体例はネタバレになるので割愛するが、特に描写不足や矛盾点に関しては酷い。

・死生観がめちゃくちゃで、設定が崩壊している
本作には「死んだ人間は異界送りをされない限り現世に留まる」という設定があるのだが、これによって設定が致命的に崩壊している
死人が現世に留まり、物理干渉でも何でもできるのでああれば、悪人以外は異界送りする必要すら無い。
死後も普通に生活できるなら、生に固執する意味すら無い。
(実際、シーモアは作中でそう考えて死んだ。またアーロンも、特に死人ゆえの苦悩があるようには見えなかった。)
生に固執する意味がないなら、無理にシンを倒す必要も無い。
つまり、本作は命の価値がとにかく軽い。「でぇじょぶだ、ドラゴンボールで生き返る」より酷い。
こんな死生観で「死ぬ覚悟」なんで言われても、覚悟の重さがまるで伝わってこない。
(一応「長期間死人でいると魔物化する」と言っているシーンもあるが、エボン上層部やアーロンはまるで魔物化する気配が無いし、「死人は死なないから生者より強い」と言い出すシーンもあるので、やはりデメリットだとは感じられない)
また、終盤のストーリーで「実はあの人物は死人でした」という展開が何度も多様されるのも、ワンパターンでつまらない。

ーーーUIーーー

・装備品のUI
装備品は整頓ができず、管理が面倒
スクロールバーやページ送り等のスクロール補助機能が無いため、装備が多くなるとスクロールだけでかなり時間がかかる
- せめて装備品の種類ごとに分ける機能がほしい
ー 敵がどんどん武器を落とすため、あっという間にアイテム枠が埋まるが、この劣悪なUIのせいで売るのに一苦労する。

・イベントスキップが無い
特に、ボスと再戦する際に面倒
ー ボスは何度も試行錯誤する楽しみがあるだけに、試行錯誤の度にムービーが挟まってテンポが削がれるのが厄介。

ーーーその他ーーー

・ミニゲームがつまらない
チョコボ関係(特にチョコボレース)は理不尽な要素が多く、プレイスキルより運のほうが重要
ー ボールやカモメは配置とタイミング次第では、見てからでは絶対に間に合わなくなる。つまり、当たらないように祈る運ゲー。
雷避けに関しては単なる苦行
ー もはや賽の河原

・音楽が微妙
通常戦闘曲がしょぼい
- RPGにおいて最も聴く機会が多い曲のはずなのに、全く耳に残らない
ピアノ曲ばかりが多すぎる。
- 穿った見方かもしれないが、「とりあえずピアノ鳴らしとけば感動するだろ」という作為が見えてしまう。
同じフレーズの使い回しが多い。「耳に残る」を通り越して、しつこいし飽きる。
とはいえ、他の問題点と比べれば微々たるものだし、イベント曲は可もなく不可もなくの普通の曲が多いのだが

【総合評価】
ストーリー ☆1
セントラルクエスチョンがまともに機能していない
演出 ☆1
描写不足が多すぎる
キャラ ☆1
主人公が何もせずワガママで不快
育成 ☆1
自由度が無く、ただ面倒なだけ
マップ ☆1
文字通りの細長一本道で、何の楽しみも無い
バトル(雑魚) ☆2
単調な後出しジャンケン
バトル(ボス) ☆5+
ボス毎に特殊コマンドがあり、毎回戦略を立てるのがとても楽しい
音楽 ☆3
グラフィック ☆4
UI ☆2
装備のUIが劣悪、イベントスキップ無し
ロード ☆3
テンポ ☆1
移動が遅く、エンカ率が高い。イベントスキップも無い。
ミニゲーム ☆1
チョコボレースは運ゲー、雷避けは賽の河原。

※各5点満点、「☆5+」は特に良かった項目。

一本道を歩かされて、敵が出たら後出しジャンケンをして、到着したらつまらないムービーを見るだけの単調なゲーム。
ボス戦はそこそこ面白いが、それ以外の強烈なストレスに耐えてまでプレイするほどの価値は薄い。
ストーリーは不自然で矛盾する部分が多く、考察しようとするとどんどん粗が出てくる。
そして何より主人公が自分勝手にパーティの足を引っ張る様が不快。
異世界から転移し、口だけでろくに努力しないくせに、偶然にも成功して仲間から信頼されるその姿は、まるでなろう系主人公。
ムービーの価値が高かった当時はともかく、現代では到底オススメできない駄作。