「ゴースト・オブ・ツシマ」がアクションRPGとして完成されている理由
PS4、PS5のソフトとして2020年にリリースされた「ゴースト・オブ・ツシマ」。
素晴らしい映像美もさることながら、海外の開発会社が手掛けたにも関わらず、日本の文化や作法について隅々まで描かれていることで一躍話題を呼びました。
そんな同作、アクションゲームとしての完成度も高く、適切且つ瞬時の判断で戦闘を行うことで舞台である対馬を「自分が守り抜いているんだ!」という悦に浸らせてくれます。
そんな本作の素晴らしい点を「アクション」と「演出」2つの面でご紹介していきます。
■アクション面で素晴らしいこと
・遅すぎず速すぎない戦闘テンポ
戦闘の基本は刀での斬り合いです。向かってくる敵の攻撃を緊急回避やガードで防ぎつつタイミングを見極めつつ攻撃して1人ずつ倒していきます。
大体1戦闘で数人を相手にするわけですが、他のゲームでは1人ずつ相手をしていくとどうしても周りに居る別の敵からの攻撃によって自分の攻撃が中断されることによってストレスになります。
しかし、今作では周りに居る別の敵は絶妙に距離を保ってくれるのです。
だからといってヌルゲーというわけではなく、自分がコンボ攻撃など1アクション終えると攻撃を仕掛けてきます。
そのため、別の敵への注意を怠ることなく戦闘を続けるので、複数の敵と戦っている体験を損ねません。
もちろん難易度や弓使いのような敵の種類によっては1アクション終える前に攻撃を仕掛けてきますが、基本的にはこちらのコンボ攻撃を妨害するような動きは少ない傾向にあります。
一見接待のような敵のアルゴリズムに思えるかもしれませんが、こちらがやりたい1アクションを阻害せず、しかしそれが終われば横にいる別の敵からの攻撃を防ぐなり回避するなりしなければ行けないので、「複数の敵を自分がねじ伏せている」という体験になるのです。
■見せ方で素晴らしいこと
・主人公の気持ちとリンクしてアツくなる演出
本作はストーリーでも感動させてくれますが、特に主人公である”仁”の生い立ちや成長具合を戦闘中の演出でも見せてくれます。
仁は、戦闘で使用できるスキルとして”型”というのを習得していき、その型によって繰り出せる技や相性の良い敵が変わります。
その中でも、後半で習得できる「冥人の型」(くろうどのかた)という型の発動シーンが素晴らしいのです。
この技の発動条件は無傷で7人倒すor隊長を闇討ちで斬首することで、効果は敵を3人まで一撃で斬り伏せられるというちょっとした無双モードです。
そしてその時の演出が、発動時に白黒の画面になり、仁が刀を振り上げて威嚇。敵が恐れおののき腰を抜かすというものです。
この、無傷で敵を倒しまくっている最中、感情の高ぶりを表現し、無双モードになる瞬間がアツいのです!
なぜアツいかというと、ここまで語られてきたストーリーの演出に理由があります。
本タイトルでは重要な場面で白黒画面になってきました。
それ故、この最後に習得する型の重要度が伝わってくるとともに、型を極めた境地に立つと視界が研ぎ澄まされて情報が削ぎ落とされるほどの集中力が仁に備わったということが伝わってくるからです。
そして、白黒画面の演出と同時に仁が刀を振りかざして勇ましく声を上げるので、プレイヤーはさらに敵陣に切り込む勇気が湧き「もっと敵を切り倒したい」と思うことができます。
同時に、これまでストーリー上で白黒画面になっていた時は仁が劣勢の時が多かったので、それを払拭するように「絶対に全滅させてやる」という蒙古への恨みが増幅されてコントローラーを握る力が強くなるのです。
いかがでしょうか。今回は魅力を2点挙げてみましたが、「ゴースト・オブ・ツシマ」の魅力はまだまだ語りきれません。
ぜひ皆さんも機会があればプレイしてみてください!