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人生で一番見返した映画
スポコン青春映画、と簡単にくくってしまうにはもったいないほどに円熟した、青春と成長の物語。
卓球で頂点を目指す高校生たちの熱く青い日々と、ヒーローの挫折と復活、そしてその陰で消費されていく凡人たちにまでフォーカスした、みずみずしさと苦々しさの同居した作品だ。
主人公ペコの怠惰な始まりを蹴散らすような親友の才能の開花や、それに伴う初めての挫折、そして復活が華々しいのはもちろん、どこまでも続くようなペコとスマイルの、他社の介在を許さない友情にも惹かれる。
一方で、卓球に浪費される鬼才ドラゴンや、人生をかけた卓球の花が開かなかった凡人アクマなど、レールに乗っかれなかったはみ出し者を救済する物語性が今作のキモだとわたしは考える。
なかでも幼馴染のスマイルにけちょんけちょんにやられたアクマが道端で絶叫する「どこ見て歩きゃ褒めてくれんだよ」という痛切な思いに、かつて夢をあきらめた大人たちは痛いほど揺さぶられてしまうのではないだろうか。
青春といえば青くさくて暑苦しい、そこがいい、というのが通例だが、映画ピンポンは青春映画でありながらどこかダウナーで、けれども見たひとをすっかりすくいあげてくれるような救済をもたらす、ヒーロームービーだとわたしは思う。