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80年代を通してみるボウイの「特異性」
「Never Let Me Down(1987)」はデヴィッド・ボウイの16枚目となるスタジオアルバム。
80年代はデヴィッド・ボウイの全盛期であり、その後90年代まで続く迷走期の始まりでもある。
当作はその迷走期の象徴的な作品だろう。
70年代のカルトスターとしてのキャリアを一旦畳んだボウイは「Let‘s Dance(1983)」にてポップ・スターとして生まれ変わる。
しかし、次作「Tonight(1984)」にてオーディエンスの失望を買い、当作でボウイの音楽性に対する評価の低下は決定的になる。
そんなアルバムだからこそ、真のデヴィッド・ボウイファンが聞くべき作品でもある。
軽薄なドラムサウンド、歪んだギターサウンド、ありきたりなコーラスはまさに当時の音楽の流行に乗っかった物だし、
ギラついた衣装、ド派手な舞台装置、80年代の産業ロックミュージックを代表するかのようなボウイの出立ちは、
まるでアメリカン・ロックの全盛期とその背後の腐敗を表しているようだ。
常に世相の鏡のような存在だったボウイを通してその世界を垣間見ることができる。
キャリアにおいて常に“変化“を求め続けたボウイの特異性を80年代のキャリアから見出すことができるだろう。