あさきゆめみし

『あさきゆめみし』とは、1979年12月号から『mimi』(講談社)で不定期に掲載され、1993年27号まで『mimi Excellent』で連載された、大和和紀が紫式部の『源氏物語』を漫画化した作品である。コミックスは全13巻、大型版全7巻、講談社漫画文庫版全7巻、KC完全版全10巻が刊行された。シリーズ累計発行部数は2021年時点で1800万部を超えた。また海外では各言語に翻訳されたものが出版された。
物語は『宇治十帖』を含む『源氏物語』54帖が忠実に描かれほぼ原作通りだが、少女漫画であるため描きだしが桐壺帝と桐壺更衣の馴れ初めになっている。また円地文子により訳された内容がメインだが、田辺聖子の『新源氏物語』に似た表現も多い。
作者の大和は古典の漫画化にあたり、登場人物が血縁関係で似ているため苦労しながら描いた。
2013年にUULAからムービーコミックが配信された。2016年には大和和紀画業50周年記念として、ガイドブック(宝島社)と新装版『あさきゆめみし絵巻』が出版された。また本作品を原作とした舞台が宝塚歌劇団の花組で公演された。

osu16g8のレビュー・評価・感想

あさきゆめみし
8

気軽に源氏物語

かの有名な源氏物語の漫画バージョンです。
古典の授業などで一部触れたことのある方も多いのではないでしょうか。
この漫画を読んだことで勉強が一気に楽しくなったのを覚えています。
時代は平安。一人の魅力的な男性「光源氏」を中心に様々な恋模様が生き生きと描かれています。
貴族から町娘まで、源氏に翻弄される色々な女性たちが出てきますが、
一つ一つの恋が非常に魅力的に丁寧に描かれていて読むほどに光源氏が愛おしくなり、憎めない気持ちになります。
物語は実父の妻に恋するところから始まり、様々な出会い、恋を経て最愛の人となる「紫の上」と愛を育む流れになりますが、
そこまでの間に結婚したり、別の女性との間に子供ができたり、島流しにされたり、呪われたり、育てたりと、
とにかく展開が早く、しかし丁寧に描かれています。まさに波乱万丈。
それもこれも光源氏ならば許される。ひどい男だなとも思いますが読了した後、嫌な気持ちが少しも残りません。
細かな描写に品があり、時代背景、当時の文化も知ることができるなど、工夫がそこかしこに散らばっており、どこを切り取っても美しい作品です。
定期的に読んでは、また新たに発見がある。生涯読み続けたいと思える作品です。