ホラー映画の世界に入れる!? 非対称鬼ごっこゲーム『Dead by Daylight』
『Dead by Daylight』、通称『DbD』は、5人のプレイヤーが4人の生存者と1人の殺人鬼に分かれて競う、非対称の対人ゲームだ。
霧に覆われ、殺人鬼が徘徊する危険なマップに放り込まれた生存者たちは、マップに点在する発電機を修理し、脱出ゲートを通電させ、殺人鬼から逃げ伸びることが目的。
一方の殺人鬼はそれを妨害し、生存者たちをこの世界を支配する邪神エンティティに供物として捧げることが目的となる。
魅力はさながらホラー映画の中に入ったような気分を味わえる臨場感だろう。
マップおよび生存者は写実的な3Dモデルで表現され、怪しげな雰囲気漂うマップはすぐにでも殺人鬼に襲われるような恐怖感を想起させる。
殺人鬼には様々な種類があり、音もなく背後に現れるもの、障害物をすり抜けて現れるもの、
遠くからいきなり攻撃してくるものなど、どれが襲ってくるか姿を見せるまでわからない。
そして殺人鬼の魔の手にかかれば、生贄として死亡してしまうのだ。
無論、生存者もただやられてばかりではない。
マップには殺人鬼から逃げるのに役立つ「窓枠」や「パレット」などのオブジェクトが配置されており、捕まらないよう逃げ回ることもできる。
また一度殺人鬼に倒されてもそれで終わりではなく、一定時間内なら他の生存者による救助を待つことができる。
こうした、殺人鬼を打ち負かすヒーロー的な行動もまたホラー映画の醍醐味のひとつ、本ゲームではそれを味わえるのだ。
一方で本ゲームの特徴は、他のゲームでいうところの「モンスター」である生存者を襲う凶悪な殺人鬼も、別のプレイヤーによって操作されるという点だ。
先述のように多種多様に存在する殺人鬼は20種以上あり、それらから好みの殺人鬼を選び、
その能力を駆使して生存者を追い詰めていく殺人鬼の体験ができるのは、他のゲームにはなかなかない特徴だろう。
必死に脱出を図る生存者たちに無慈悲に立ちはだかり、4人まとめて生贄としてしまうのは、嗜虐的な快感を味わえる。
生存者、殺人鬼ともにパークと呼ばれる特殊能力を4種ずつ装備できるカスタマイズ要素もある。
100以上の種類があるパークから、自分にあった4種を選んでいくことや、
ゲーム中相手の生存者または殺人鬼がどんなパークを装備しているか推測し、それに応じて行動するというった駆け引きもまた面白い。
ただしいくつか難点もある。
生存者も殺人鬼もキャラクターの数は豊富だが、そのほとんどが有料コンテンツによるキャラクターで、使用には課金による購入が必要となる。
1人1人は高額ではないし、ゲームを続ければほとんどのキャラクターは無料で開放できるものの、
キャラクターを開放しないと使用できないパークも多く、万全の状態でプレイするには長時間のプレイか、課金が必要となる。
また非対称対戦ゲームの難点として、ゲームバランスが不安定なところがある。
特に殺人鬼側をプレイする場合、慣れるまでは人数の不利が響きやすく、
生存者は上手なプレイヤーが下手なプレイヤーを助けるといった補完ができるのもあって、難しいとされている。
しかしその分、ゲームに習熟し、難なく生存者を打ち倒せるようになった時の喜びは一入。
あるいは無理に殺人鬼側をプレイせず、仲間と協力できる生存者側に専念するのもありだ。
そうした選択肢があるのは、非対称ゲームならではだろう。
ホラー映画のような臨場感と、本格的な対戦ゲームとしての味わいを併せ持つ非対称ゲーム『Dead by Daylight』。
公式大会も開催されており、また2022年では日本のホラー映画『リング』から、有名なキャラクターである貞子が殺人鬼として参戦するなど、
IPをまたいだ発展も見せており、今後も注目である。