ストーリーも面白いが、アイヌ文化の描写が秀逸
時は明治、日露戦争当時「不死身の杉本」と呼ばれた杉本佐一は戦争後、大金を得るため北海道で砂金を探していた。
戦争で死んだ幼馴染の奥さんの目の治療費を得るためだ。
その時に知り合った酔っぱらいの老人にある話を聞かされる。
「アイヌの隠し軍資金」、現在網走刑務所に収監中の囚人「のっぺらぼう」が囚人たちに施した入れ墨を合わせるとそのありかが分かるらしい。
酔っぱらいの与太話と思っていた杉本だが、その後ヒグマに襲われた際に助けられたアイヌの少女アシリパから聞いた話により信ぴょう性が増す。
二人は脱走した囚人たちを探しながら入れ墨を集めていくことにした。
そこに彼らを狙う狙撃兵が。彼は旭川に拠点を置く第七師団の兵士だった。隠し軍資金を第七師団も狙っていたのだ。
指揮をするのは情報将校の鶴見中尉。辛くも杉本たちは鶴見中尉達の追っ手を振り切るが、その隠し財産を狙っている勢力は他にもいた。
網走監獄から脱獄した男、土方歳三とその一味だ。一癖も二癖もある猛者たちが交錯し物語は進んでいく。
果たして隠し財産を探し当てるのは誰か?登場人物の過去を細かく描写しながら物語はめまぐるしく展開する。アイヌの参考文献を参考にしてアイヌ文化も細かく描写しているほか、わかる人にはわかる小ネタも満載している。