「レオン」レビュー 悲壮な境遇の少女マチルダが気丈に振る舞う理由
あらすじ:
殺し屋のレオンは、麻薬取締官に家族を殺された少女のマチルダと出会い、匿う。
やがてマチルダはレオンが殺し屋でありながらも奇妙な同居生活をしていく内に惹かれていき、恋に落ちる。
マチルダはレオンの殺し屋の相方として任務を遂行するようになる。
あらすじだけ読むとヘヴィな内容に思えるが、決してそうではない。
レオンは植物が好きな内気な性格であり、反対にマチルダは強気でお転婆な性格の為、ふたりの関係はコミカルかつ時にシリアスに描かれている。
マチルダはレオンの事をとても慕っており、時に一線を越えようとしてきたり、「愛人です」と冗談を言ったりする。
その度に困惑するレオンが殺しの任務をしてる時の冷酷さを感じさせないくらい人間臭いのである。
マチルダは冒頭で再婚した両親も兄弟も殺されている。
連れ子の姉をケツデカと罵ったり母親父親との折り合いは悪いが、弟は唯一マチルダに懐いてるようで、可愛がっているようだ。
マチルダ以外の家族は殺されてしまったが、なぜ気丈に振る舞えるか、それはレオンの存在があるからだと考える。
レオンは内気な性格だか、殺し屋の仕事になると淡々とかつ冷酷に任務を行う、強い男である。
レオンという強い男が、心の支えであり、アイデンティティーであり、尊敬の対象であるのではないかと思う。
マチルダはレオンのような強い女になりたくて気丈に振る舞っているように映った。
クライマックスで、レオンは麻薬取締官を殺す為にマチルダを逃がす。
そのとき、やっとマチルダは少女のような幼い顔をみせるが、レオン亡き後、レオンの育てた鉢植えを持つ姿は、
とても凛々しく、また強さを取り戻したのであった。恋は人を強くすると感じる映画だった。