圧倒的画力と丁寧な人間模様が織りなす、囲碁漫画の金字塔!
週刊少年ジャンプで連載されていた囲碁がテーマの漫画「ヒカルの碁」には派手な必殺技も、かわいい女の子のお色気シーンも、絶対に倒さなければならない悪役も存在しない。
しかし、「少年ジャンプで好きな漫画は?」という質問でこの作品を挙げる人も多い。それはなぜか。
まず「心理描写」がとにかく丁寧だ。囲碁漫画のため、物語は囲碁の対局を中心に進んでいく。
対面で座って順番に碁を打っていくという過程は、普通に考えると地味になりそうである。
動きに変化もないし、何より囲碁のルールが正確に分かる人は少数。
しかし、主人公を含むそれぞれのキャラクターの心理描写が丁寧に描かれているため、対局の緊張を読者もリアルに感じることができ、
退屈しないで次はどう考えるんだ?どうやってこの局面を打開するんだ?と物語に入り込むことができる。
対局の内容自体よりも、キャラクターの心情を丁寧に追っているため、囲碁を知らない少年少女でも、共感しやすくなっているのだ。
最終巻まで読んでも囲碁のルールは分からないという意見をよく聞くが、きっとそれは作者の意図がしっかりはまったことを意味している。
そしてなんと言っても圧倒的画力。
「DETHNOTE」や「バクマン」の作画で知られる小畑健の美麗タッチで描かれる本作は、とにかく演出がすごい!
主人公のヒカルが対局中に涙するシーンは、小畑健の画力がなせる業だ。
1巻と最終巻を比べると、画風がかなり変化している。どの時期の絵柄もそれぞれの魅力があるので、自分の好きな絵柄を見つけるのも楽しいかもしれない。