東京事変というバンドをもう一度
今年は日本を代表する歌手といっても過言ではない椎名林檎さんが活動を始めてから20周年である。椎名林檎さんとは1998年に「幸福論」でメジャーデビューし、以降奇抜なライブ活動、楽曲提供、紅白歌合戦の出場、そして2020年に開催される東京オリンピックの開閉会式のプランニングメンバーに選ばれるなど、幅広い活動を現在まで行っている。
その椎名林檎さんが音楽へのモチベ―ションを持続させるために2003年に結成し、2012年まで活動していたバンドが「東京事変」である。
このレビューで私は東京事変の魅力を3つに分けて紹介しようと思う。私はかつてこのバンドの結成理由にすごくネガティブな印象を持っていたが、演奏を聞いた瞬間にそんな雑念は吹き飛んでしまった。
1つ目、このバンド、めちゃめちゃ演奏がうまいのだ。ピアノ、ドラム、ベース、ギター、そしてボーカル。それぞれがそれぞれの個性を爆発させるが、絶対にパート同士を邪魔したりすることがないのだ。音量でごまかしたりなんてことが絶対にない、最強のバランス感覚である。
東京事変はメンバー交代が一度起こっており、第一期(2003-2005)の活動と第二期(2005-2012)とでは音楽性が少し変わってしまっている。二つ目の魅力はこれである。具体的には第一期はロックの色が強く出ていて毒のある印象がある。第二期はおしゃれを多角化したイメージ。「透明人間」という曲は、第一期、第二期両方とも演奏されており、違いがわかりやすい。
最後の魅力は独特な歌詞である。東京事変では椎名林檎だけが歌詞を書いているわけではないが、言葉の一つ一つが椎名林檎の世界を壊さずかたちどっているのが素晴らしい。いちどはまってしまったらしばらくは抜け出せなくなることを保証しよう。
以上が東京事変というバンドの魅力のすべてではない。多すぎて3つに絞るぐらいしか解決法がなかったのだ。残りのたくさんの魅力はぜひ、あなたにさがしてほしい。あなたが知らない世界をこのバンドのなかに見つけてくれるのなら、私はとてもうれしい。