タイトルで騙されてはいけない音楽映画
事故による重度の全身麻痺という障害をもった白人男性がスラム出身の黒人青年をヘルパーとして雇い、互いに受け入れあい友情を築いていく実話をもとにしたハートフル映画。
「重度の全身麻痺の障害」というワードで、健常者としては「可哀想」という同情で観る映画ではない。まずは障害を持った白人男性は大富豪の初老という立場である。車椅子で日常生活にも支障があるからヘルパーを雇うわけなのだが、お金とキャリアを重ねているという立場であるために悲壮感がない。ヘルパーの黒人青年とのギャップがあればあるほど盛り上がる映画で、金持ちと貧乏、教養と無教養、白人と黒人と分かりやすい映画である。正直、黄色人種の日本人にはアメリカの白人と黒人の確執を体感したり、100%の共感はできないのだが、この映画のエッセンスだと思う。
最も悲壮さを感じさせない大きな要因は音楽である。この映画の挿入歌がクラシックからダンスナンバーと幅広い。クラシックに関しては正直に言うと自分が無教養のためピンとこない。しかし、ダンスナンバーに関してはタイトルと歌手は知らないが聞いたことがある。むしろ、英語は知らないけど歌えるという選曲で、エンドロールやグーグル検索で曲名や歌手を調べたら納得する大御所だらけである。挿入歌の選曲も良いが、全部がいいシーンで流れるのでテンポが良い爽快な映画に仕上がっている。