人間らしさと満載の獣たちが描く、激しくもちょっと甘酸っぱい学園ストーリー、BEASTARS。
肉食獣と草食獣が共存し生活する世界の学園の生徒、レゴシという狼が主人公の、アクション多めの激しめな学園ものの漫画、BEASTARS。
2016年から2020年まで、週刊少年チャンピオンで連載された、板垣巴留の作品だ。
2019年にはアニメ化もされ、第1期、第2期と放送された。
元々主人公のハイイロオオカミ、レゴシというキャラは「ビーストコンプレックス」という作品に登場したキャラだった。
彼が人気を得たため、BEASTARSの主人公に学生として登場している。
彼が通っているチェリーントン学園でアルパカの生徒が肉食中に食殺されるというショッキングなオープニングだ。
そしてヒロインのドワーフウサギのハルとレゴシの出会いも、レゴシの本能が暴走してハルを襲ってしまうという獣ならではのエピソードなのである。
狼という強い肉食獣だが、目立たずひっそりと生きていきたいレゴシ。
彼が様々な事件に巻き込まれ、友情、恋愛感情、己の強さへの感情を、日々模索、葛藤していくのだ。
この漫画の魅力は、ストーリーの展開の面白さだけでなく、登場するキャラクターの表情や種族の多さだと感じる。
登場するのは全て動物であるのに、仕草や振る舞い、思考が実に繊細に、自然に描かれているのだ。
特性も実在する動物のさまをしっかりと反映しているにもかかわらず、なんとも人間くさいキャラクターたちが巻き起こす日常と非日常の日々。
学生らしからぬトラブルに立ち向かう彼らの世界に引き込まれると、いつの間にか抜け出せなくなっていることだろう。
そしてラストのレゴシとハルらしい終わりかたがとても気持ちいい。
途中で世界観が変わることなく、飽きずに読み進めることができる漫画であると言えるだろう。