人間模様を映す山岳映画
漫画原作の映画化である。主人公島崎三歩を小栗旬が演じる。小栗旬は、漫画を原作にした作品に何度も主演している。例えば、「ルパン三世」や「銀魂」、本作などである。小栗旬の演技は、原作の雰囲気そのまま凝縮させることができるようだ。本作では、三歩の山に対する純粋なまでの気持ちを演技で表現していた。
三歩は山を愛しているが、正確には三歩自身が山である。山岳避難救助隊からも一目置かれ、頼りにされていた。そんな中、山岳救助隊に新人が配属される。長澤まさみ演じる椎名久美である。この二人を中心に物語は進展していく。タイトルのとおり、山岳を舞台にした物語だ。特に厳しい冬の雪が登山者を嫌う。そんな自然の姿を人間模様を通して、描いている。また、本作は久美の成長を軸にしている部分もあり、長澤まさみの役が重要だったのだ。しだいに山岳救助隊としての信念が強くなり、甘い考えで山に入る者に憤りを感じ始める。心情の描写もあり、久美を通して成長していくのがわかった。
実は、長澤まさみはその後に小栗旬との再共演することになる。「銀魂」である。最近は、漫画原作の映画化が多く、原作の雰囲気や登場人物に似せるため、同じ役者が出続ける場合もある。両者とも演技の幅もあり、漫画原作の映画には欠かせない存在だろう。