日本で大ヒットしたフランス映画といえばコレ!映像の可愛らしさだけでないアメリの魅力
2001年に公開されたフランス映画「アメリ」(原題:Le fabuleux Destin d'Amelie Poulain)。
フランスで国民的大ヒットを記録し、世界各国でも『アメリ現象』と呼ばれる社会現象を巻き起こした。
公開から16年後にはブロードウェイでミュージカル化され、翌年には日本版も上演されるなど、長い年月この作品を愛するファンが多い作品だ。
【あらすじ】
主人公アメリは元教師の神経質な母と元軍医の冷淡な父のもとに生まれ、
父の勘違いから心臓病を患った子供として学校にも行かず家の中で母に勉強を教えてもらいながら育てられた。
幼いうちに母親が事故死すると、さらに孤独の中で空想遊びに耽る毎日を送り、想像力の豊かな少女に成長し、
22歳で実家を出てパリ・モンマルトルのカフェでの勤務を始める。
そこで様々な面白い人物と関わっていくのだが、生い立ちの影響もあり周囲と思うようにコミュニケーションが取れないアメリ。
ある出来事をきっかけに、自分の世界から飛び出そうと決心するが…。
【感想】
「アメリ」といえば、主人公アメリを演じたオドレイ・トトゥのキュートなおかっぱヘアやパリジェンヌらしいビビットなカラーのファッションと、
本編中印象深く散りばめられたミヒャエル・ゾーヴァの作品に、
ジャン=ピエール・ジュネ監督らしいほんのりとダークな、それでいて可愛らしい映像が取り上げられることが多いのだが、
ストーリーの中に描かれる登場人物のほとんどが「普通」じゃない人間ばかりなことにも注目して観たい作品でもある。
内向的でコミュニケーションに関しては不器用だけれど想像力豊かでいろんな一人遊びを楽しむアメリ、
アメリが務めるカフェ「ドゥ・ムーラン」の仲間や常連客、同じアパートの住人たち、それぞれ個性の強い人間ぞろい。
アメリだけでなく、ほとんどの登場人物がコミュニケーションの面で不器用であったり、何かしらの問題を抱えていたりするのだが、
アメリの決心に半ば巻き込まれるような形で、みんながみんなそれぞれの世界から一歩、そっと飛び出すさまが愛おしく、
観終わった後言いようのない幸福感で胸がいっぱいになる映画だ。
「嫌な奴」は数人出てくるが、「悪人」はいないので、安心して観られる作品でもある。
「嫌な奴」ですらしばらく観ていると愛くるしくなってくるのがこの映画の魅力の一つだ。